偵察-リコンナイセンス-part1/囚われた者たち
[6/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
辺を漂う雲海の中に飛び込んだのだ。
「君たちだな。今回の作戦の要役は」
それと同時に、一人の若い男性へ医師がサイトたちの下にやってきた。
「ヘンリー・スタッフォードだ。元はアルビオンの出だが、今回君たちと共にアルビオン偵察部隊に入ることになった。君たちに、アンリエッタ女王から大陸内部の案内役を任されたからね」
その兵士は、以前シュウがアルビオンを脱出する際に遭遇した青年、ヘンリーだった。シュウや空賊団たちとのかかわりと、アルビオンの元兵士ということもあって、彼も今回の作戦に抜擢されたのである。
「あなた、元々アルビオンの兵士でしょ?信用できるのかしら?」
「る、ルイズさん…そんなこと言ったらまずいんじゃ…」
ルイズがヘンリーに対し、懐疑的な視線を向ける。彼は現在のアルビオン、つまりレコンキスタの兵士でもあった。もしかしたらワルドと同じように裏切るのではないのかと、疑惑を募らせた。
それをフォローしたのは、作戦前ということもあって、さっきの様子と打って変わって冷静さを保ち始めたシュウだった。
「問題ないだろう。こいつの顔には俺も覚えがある。ティファニアたちも世話になったみたいだからな」
「君は確か、アルビオンでティファニアたちと共にいた…」
「え、知り合いなのか?」
「アルビオンを脱出した際に、少しな」
意外にもシュウがたった今やってきたアルビオン兵と面識があるという事実に、サイトは目を丸くする。接点を感じない者同士なだけあって、少しばかり驚かされた。
「言いそびれたいたことがあるんだ。このペンダントを拾ってくれたことの礼を言いたかった」
ヘンリーは、シュウが以前拾って渡してくれた、婚約者の肖像画を収めたロケットペンダントを見せる。
「ティファニアたちに礼を言ってほしい。もう一度、婚約者に会いたいと強く思えるようになった。以前の僕だったら、こんなことは考えなかったが、後悔はしていない。今のアルビオンには大義なんてないからね」
「そうか…」
その顔は、最初に見たときと違って憑き物が取れたようにも見て取れた。きっと、ただ貴族としての誇りとか、軍人は上官が何者であろうと従うべし、そのようなことに囚われるあまり、本当に大事なものが見えなくなっていた。そこをティファニアに諭され、そしてサイトたちから空賊団共々救出されたときに偽クロムウェルの襲撃をきっかけに、自分がなすべきこと、守るべきものを見出すことができたのだろう。
それは、『黒い闇』の中にいる自分と違い、『白い光』の中にいるサイトと似ているような気がした。レコンキスタの手に落ち敵の刺客となったウェールズを救って見せた、サイトと同じように。
(少し前の僕とどこか似ている…)
顔が優れないシュウを見て、ヘンリーは心の中でそのように呟く。本心を押し殺して、張り付けた建前のためにが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ