偵察-リコンナイセンス-part1/囚われた者たち
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詫びを入れてくる。どうも軽めのギャンブルをしていたようだ。意外なことに、彼らはシュウが貴族じゃないことについて一目でわかったようだが、特に彼の態度に対して嫌悪感を露わにすることなくフランクに対応していた。
「僕は生き物だって思ってたんだけどな。あ〜あ、せっかくの1エキューがルネなんかのためにぽいかよ…」
一人の少年貴族が渋々ながら、ルネと呼んだ別の少年貴族に手渡す。
「ルネなんかってなんだよ!こんな竜がいるもんか!」
口々に言い合いを始めながら、ルネたち少年貴族たちは呑気なものだ。これから怪獣という強大な存在を相手にするというのに。
「シュウ」
すると、入れ替わるようにサイトが彼のもとに歩み寄ってきて、シュウは無言のままサイトの方を見て彼が歩いてきたのを確認する。
「これで、この機体はオールグリーンでフライトできる。後は作戦決行まで平賀に管理させる」
「そっか…サンキューな」
サイトからの礼を受け流すかのように、シュウは遥か上空をジーっと黙って見上げ始めた。その目に見えているのは、アルビオン大陸で捕まってしまったアスカだけだろう。先日も、早く彼を助けに行こうという意志が強く出ていた。
「やっぱり気になるのかい?あのアスカって人のこと」
ムサシからの問いに、シュウは頷く。
「…気にならないわけがない。俺のせいで彼は捕えられてるんだ。ティファニアの持つ虚無の力と、俺の持つウルトラマンの光を狙う奴から俺たちを庇ってな」
再度視線を空の上に戻し、シュウは言った。
「…地球にいた頃からだ。俺の周りでは必ず不幸が起こる。だから、たとえ俺がウルトラマンや虚無のことと無関係だとしても、俺の傍にいる人間には、何かしら不幸が訪れるんだ。だからお前たちとこうして一緒になることにも反対した」
その表情は硬く険しい。何者も寄せ付けようとしない意図がとれた。
「今回の件が終わったら、たとえアスカを救出できなくても、俺は一人で戦うようにする。その方が、誰も傷つかないですむ。俺のせいで誰かが苦しむこともない」
サイトは、違和感を覚え始めた。シュウが口にし続ける言葉がいまいちかみ合っていないというか、大きなずれが生じているように思えてならない。
「…さっきから、俺のせい俺のせいって言うけど…何をしたっていうんだ?言ってること、なんかおかしいんじゃないか?」
ムサシも同じことを考えてそう言った。
そうだ、この男は何でもかんでも自分のせい、という言葉を繰り返している。なんでもかんでも自分の責任として受け止めている。自分が直接的な原因じゃないことでさえも、自分の存在が要因となっているように言っているのだ。
「レコンキスタの奴らが勝手にあんたを狙っているんだから、あんたのせいじゃない。
遠ざかってもあの子が傷ついたり、狙われるなら、お前がそばにいて守れよ。
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