偵察-リコンナイセンス-part1/囚われた者たち
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た部下たちと違って、怪獣たちからの直接攻撃を受けていないことをいいことに。
「思ったとおりに動いてくれましたな、ド・ポワチエ殿」
髪の薄い将軍の一人が、もう一人の男爵ひげの男に向けて言う。
「我がトリステインの兵力を浪費せずに上陸するには奇襲が必要不可欠。その陽動として竜騎士団と空賊共が注意を引き付けている間、我々は少しずつ雲にまぎれながら敵の要所であるロサイスを目指す。そうすれば我々は手を汚すことなく手柄を我が物にできる…
万が一奴らが倒れても、その役目を引き継いだと女王陛下に報告すれば問題ない。竜騎士たちには『例え体当たりをしてでも我が艦に近づけさせるな』と命じているからな」
「これで手を汚すことなく、我々は名誉と手柄を手にできるというわけですな。
なぁに、どうせウルトラマンが来るのだ。死にはせんだろう…」
「よし、今のうちに陛下へ書状を送りたまえ。『竜の羽衣と空賊団の船は撃墜され名誉の死を遂げ、代わり我々がロサイスの奪取に成功。すぐに援軍を求む』…とな」
なんと、作戦の要役がサイトたちの乗るホーク3号側だというのに、彼らは自分たちがその手柄と役目を独り占めしようとしていた。自分たちの代わりに、同行させていた竜騎士たちを積極的に前線に出撃させ、本体である自分たちは少しずつ、悟られないように後退していたのだ。
「空賊共に若造共、せいぜい我々のためにその命を持って尽くすのだな。ならず者ごときに大役を任せているのだ。むしろ感謝するがいい」
たとえ祖国を裏切っていなくとも、自分たちの昇進のためなら共に戦う仲間など捨て駒として使う。万が一のことがあっても、ウルトラマンがくるから別に構わないという発想。アンリエッタの見ていないところで、リッシュモンやワルドとは違った形で、未だにトリステインの培い続けてきた闇は生きていた。
身分や権力に囚われた果てに、自分たちこそが人の上に立つ貴族である。その思い上がった行為が、潜在的に『自分たちは何をしても許される』『自分たちより格下の身の上の者は我々に尽くすのが当然』という思い上がりという闇が。
または、いやそこから派生している過剰な防衛本能かもしれない。レコンキスタを駆逐したとしても、その後で奴らとの戦いで功績を挙げた空賊団の方がトリステイン内でも立場が高くなり、旧来の自分たちトリステイン貴族の権威が落ちることへの恐れ。ならば自分たちの立場が危うくなる前に空賊たちや自分たちより立場が上になるかもしれない若い世代を切り捨てるという…恐怖から怒る闇なのだろうか。
しかし、そんな彼らに天罰が下ることは…彼ら自身も予想していなかった。
仲間たちを尻目にアルビオンに向かう小型艦全体に、強く激しい振動が起きた。
「な!?」
ド・ポワチエたちは動揺を示す。自分たちの行動が悟られないように雲間に隠れつつア
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