偵察-リコンナイセンス-part1/囚われた者たち
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「でも、ワルドなんかよりマシだろ」
「それは、まぁ…そうだけど。って、あんな男のことなんて思い出させないでよ。私にとってあの男が婚約者だったこと、人生の汚点だわ」
トリステイン貴族でルイズの婚約者でありながら祖国とルイズたちを裏切ったワルドは、今もなお…いやどれ程年月を経ても忌むべき男だ。意外と空賊たちは義理堅いので、サイトの言う通りだ。
「そうだね。どうせなら僕が最初から君の婚約者だったらよかったのに」
そこへジュリオいきなり現れてルイズに歯の浮く台詞を口にしては、彼女の方に手を回してくる。いきなり引っ付いてきたジュリオに、ルイズは思わず顔を赤らめ、素っ頓狂な悲鳴を上げそうになる。
「気安くルイズにくっつくんじゃねぇよ」
それを見たサイトは気を悪くしてジュリオからルイズを引っぺがした。相変わらず油断も隙もない。
「おいおい、男の嫉妬は犬も食わないよ」
(こいつ…)
それでいてガチで気に食わない男だ。見た目に関してはイケメンだから余計に腹が立つ。さらに言うと、ルイズがこんな男に少しでも恥じらいを覚えたような顔を浮かべていると考えると、腸の煮えくり具合が倍加する。
(むぅ…平賀君ってば…)
しかしこれについてはハルナも少しばかり機嫌が悪くなる。サイトが他の女に気を惹かれているというのは、今のサイトと同じ気持ちだ。アキナという人格と共存するようになったからだろうか…いっそあのイケメンがルイズを持っていってくれたら…などと自分でもみっともないと思えることを考えてしまうハルナだった。
「い、いけない人ね。そ…そんなことよりも、ハルナ」
ジュリオに対してそう言いながらも平静さを保とうとするルイズだが、いまだに赤面したままだ。何とかいつもどおりの調子を戻そうとするルイズは、適当にハルナに話を振ってみる。
「はい?」
「さっき言ってたしゅうがく旅行ってなに?旅行って言うからにはどこかへ行ってたの?」
「あ…そっか。こっちの学校じゃ修学旅行なんてないんだ」
「何の話?僕も興味があるな。聞かせてくれよ」
「あなたといると調子が狂うわ。今からハルナと二人で話すから、あなたはちょっと席を外して頂戴」
「釣れないなぁ…」
突っぱねられても、ジュリオはまるで気にしてない様子で肩をすくめる。
そこからハルナがルイズに修学旅行のことを説明し始める。小学校から中学、高校の頃の修学旅行の際、クラスメートたちと共に旅行先の名所を訪れてお土産を買ったり、夜にお泊り先でまくら投げをしたりと…そこから二人は話が盛り上がり始め、サイトは蚊帳の外になる。
「女の子同士の会話というものはどうも長い。僕は少し席を外すよ」
ジュリオはそういい残して船のどこかに歩き去っていき、サイトは独りになった。
「女が話し終わるまでの男一人って寂しいもんだね」
「止めろ
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