624部分:第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその十
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第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその十
「次は甘味じゃが」
「はい、何処ですか」
「それでそのお店は」
「ここじゃ」
右手を指差す。するとそこに黄色い看板の店があった。
「ここの菓子は絶品じゃぞ」
「ううん、何かお店の前に来ただけで」
「凄くいい匂いがします」
とろけそうになっている孔明と鳳統であった。
「ここは期待できますね」
「それもかなり」
「左様。それではな」
「はい、入りましょう」
「今から」
「あのさ」
馬岱が目をきらきらとさせている二人に問うた。
「二人共いいかな」
「えっ、蒲公英ちゃん」
「一体何が」
「二人共さっきのラーメンの時太ったらどうしようって言ってたじゃない」
彼女が二人に今尋ねるのはこのことだった。
「そうだよね」
「ええ、そうだけれど」
「それが」
「満腹だとも言ってたよね」
馬岱はこのことも話した。
「確かに」
「ええ、確かに」
「それは」
「それじゃあさ」
馬岱はここで首を左に捻ってだ。また二人に尋ねた。
「ここで甘いものは」
「大丈夫、それは」
「平気だから」
こう言い切る二人だった。
「甘いものは別腹だから」
「それに甘いものでは太らないから」
「別腹?太らない?」
「女の子はそうだから」
「だからいいの」
「そうかなあ」
馬岱は二人の返答に今度は右に捻った。
「だったらいいけれど」
「そうなの。ですから厳顔さん」
「ここは」
「うむ、入ろうぞ」
至って平気な顔の厳顔であった。
「油っこいものの後は甘いものじゃ」
「そうですね。ですから」
「お菓子を」
「杏仁豆腐かごま団子か」
厳顔はまずこの二つを話に出した。
「どれがよいかのう」
「ええと、私は」
劉備もにこにことして話しはじめる。
「桃饅頭を」
「ふふふ、桃だからじゃな」
厳顔は劉備の真名からこう言って笑ってみせた。
「面白いことじゃな」
「えっ、面白いですか」
「どうやら劉備殿は面白い方のようじゃ」
今度はこう言う厳顔だった。
「さて、それではじゃ」
「はい、それでは」
「今度はこの店に入ろうぞ」
こう話してであった。一行は今度は菓子を楽しむのだった。そんなことをしてこの日は心ゆくまで楽しんだ一行なのであった。
そしてその日の夜。一行は厳顔の屋敷で休んだ。その時だった。
ふとだ。神楽が言うのだった。
「あの厳顔さんもまた」
「何か感じられましたか?」
「ええ、若しかしたら」
こう月に返してからだった。また言う。
「私達と一緒に戦う人なのかも」
「私達とですか」
「そんな雰囲気がするわ」
これが神楽の見たところだった。
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