第一章 天下統一編
第二十四話 幼き名将
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ったが信長公の娘ということで中々嫁ぎ先を見つけられなくてな」
蒲生氏郷は笑いながら言った。俺の縁談相手は三ノ丸で確定だ。
有り得ない。歴史が狂いはじめている。
俺も腹を括るしかない。どれほど歴史がずれるか注意しておく必要がある。
三ノ丸はどんな感じの女性なのだろう。彼女についての記録が少ない。二十代後半で死んだことは分かっている。早死にしたのは肩身の狭い生活をしていたからじゃないかと思ってしまう。実家は滅んでしまったからな。そう考えると同情してしまう。
「関白殿下は反対されなかったのですか?」
「反対? 関白殿下は大喜びだったぞ」
蒲生氏郷はあっけらかんと俺に答えた。俺は秀吉の反応を聞き絶句した。俺の秀吉の印象が変わってしまった。秀吉は無類の女好きの印象しか無かった。だから、手当たり次第に美人の女性を側室していると思っていた。
「相模守、不満そうだな」
「関白殿下は女好きと思っていたので」
蒲生氏郷は急に腹を抱えて大笑いしだした。
「関白殿下も男だ。女子は人並みに好きであろう。だが、節操ないわけじゃない。秀次様は節操がないがな」
蒲生氏郷は苦笑しながら言った。秀次が女好きなことを想像つく。秀次事件で処刑された側室は三十人。幾ら関白とはいえ、二十八歳で三十人の側室は多すぎると思う。彼は無類の女好きとしか思えない。
「そうなのですか」
「私が言ったことは内密にな。特に秀次様のことはな」
俺は頷いた。俺と蒲生氏郷は会話を終え、秀吉の待つ座敷に向かった。
「俊定、よう戻った!」
俺が座敷に足を踏み入れると秀吉が俺を呼んだ。秀吉は上座で上機嫌に俺を見ていた。早く入ってこいと手招きしている。俺はいそいそと秀吉の前まで進み出た。
俺の周囲には床几に腰掛けた武将達がいた。彼らの中には徳川家康もいた。彼は俺に対して無表情だった。
徳川家康は怒っている?
不味いな。
韮山に近づく徳川の間者を尽く排除したのが俺だと気づいているのかもしれない。徳川家康の表情が読めない。
俺が徳川家康を見ていると強い視線を感じた。視線の先を追うと見知った二人が俺を睨んでいた。織田信雄と豊臣秀次だ。
最悪だ。
こいつら何で俺を睨んでいるんだ。目に殺気が籠もっている。俺はどん引きしながら視線を秀吉に戻した。
「韮山城をたった五百の兵のみで四日で落としたそうではないか。大したものだ」
武将達も驚いた表情で俺を見ている。視線が俺に集中している。凄く居心地が悪い。
「関白殿下、四日と言いましても相模守は二日は家臣達と酒盛りをし遊興に耽っておりました。二日で城を落としたというのが正確なところでしょう」
蒲生氏郷が余計なことを秀吉に言った。秀
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