第一章 天下統一編
第二十四話 幼き名将
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ないと思うぞ。北条の本城、小田原城、で激戦になると思いきや、小競り合いくらいしか起こって無いらしい。朝から宴会を開いているとも聞いている」
福島正則の話を聞き終わると、その話に合点がいった。そう言えば北条征伐を行う豊臣軍は敵の反撃があまり無かったため昼間から宴会する場合もあったと記録されている。
これは飲み確定だな。俺は気落ちしながら空に視線をやった。空を一羽の鳶が旋回しながら飛んでいた。なんて呑気なんだろうな。ちょっと前まで敵と殺し合いをしていたことが嘘のようだ。
日が昇りきった頃、秀吉は俺の読み通り乱取り禁止の命令書を俺に送ってきた。それに加え韮山城の仕置きは全て俺に一任すると書かれていた。この命令書のお陰で韮山に在陣する武将達を抑えることができた。その後、俺は韮山城で戦後処理を終え、一路小田原に向かった。
俺が小田原に到着するなり秀吉は呼び出した。今、俺は秀吉の本陣に到着し廊下を歩いている。俺のお共は警護役の柳生宗章だ。
着替える時間が欲しかった。俺は具足の臭いを嗅ぐ。凄く汗臭い。服を着替えたい。
「人使いが荒いよな。眠り暇もない」
秀吉の人使いの荒さを愚痴ってしまう。
「虫の居所が悪そうだな」
俺は突然声をかけられ身体を硬直させた。
聞かれてしまったか?
秀吉への悪口を聞かれてしまったか?
心臓の鼓動が速くなる。俺は怖ず怖ずと背後を振り向いた。
背後にいる人物の顔を見て俺は絶句してしまった。蒲生氏郷だ。
「大手柄だったそうではないか。真逆、私達が去った二日後に城を落とすとはな。末恐ろしい小僧だな」
蒲生氏郷は呆れ気味に俺に言った。彼は俺に近づいてくると俺の背中を軽く叩いた。
「さっさと行くぞ。関白殿下がお待ちだ」
蒲生氏郷は穏やかな表情だった。彼の友好的な態度に違和感を覚える。ここまで変わるものなのだろうか。俺と彼の接点はここ一週間位だ。これは俺が未来の親類になることを見据えてのことだろうか。
「蒲生様、韮山で私の陣所を訪ねられた本当の理由は何でしょうか?」
ここは直球で聞く方がいいだろう。もし、縁談話なら駄目元で破談させたい。
「私が言わずとも関白殿下がお前に伝える。関白殿下に直接聞いてくれ」
蒲生氏郷は俺の問いかけに振り向かず淡々と答えた。俺は絶句した。もう引き返せないところまで話が進んでいる。俺の縁談相手は三ノ丸と思っていたが違うのか。秀吉は三ノ丸を側室にした。だから、女好きの秀吉なら三ノ丸を自分の側室にすると思っていた。俺の縁談相手は三ノ丸とは別の女性なのか。
分からない。
頭の中がぐじゃぐじゃだ。
「そう心配しなくてもいい。私の義妹は妻に似て美人だぞ。お前もきっと気に入るはずだ。もう年頃だ
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