第一章 天下統一編
第二十四話 幼き名将
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に降伏してきました」
「なんだと!? 本当に城は落ちているのか?」
福島正則と蜂須賀家政は狼狽しながら俺に聞いてきた。城攻めの協力を頼んでおいて出番を失えば落胆するよな。でも、城が落ちたから仕方ない。
「城は落ちました。それと城内への乱取りは止めてください。日が昇る頃には関白殿下から乱取り禁止の命令が届くことになっています。どうしてもというなら、大手門を接収している私の軍が相手させていただきます。弾薬と鉄砲は十分にありますから、日が昇る頃まで相手することはできます」
俺の頭に衝撃が走った。俺は頭を両手で押さえうずくまった。
「お前一人で城を落とすとは何事だ!」
いつも良心的な蜂須賀家政が怒鳴った。俺の頭を殴ったのは蜂須賀家政のようだ。いきなり殴ることないだろ。
俺は涙目で顔を上げると、蜂須賀家政が俺のことを睨んでいた。福島正則は蜂須賀家政を「まあまあ。落ち着け」となだめている。いつもと逆の配役に俺は違和感を覚えてしまった。
「思いの外に楽に砦を落とせたので勢いで攻めてしまいました」
俺は苦笑いを浮かべ蜂須賀家政に返事した。
「それは俺達への皮肉か?」
「いいえ。そういう訳じゃないです」
俺に食ってかかる蜂須賀家政をなだめる。蜂須賀家政はどうしても城攻めに参加したかったようだ。
「蜂須賀、落ち着け。相模守は関白殿下との約束を守ったのだ。これでよしとしよう。相模守、今回の貸しは俺達へ酒を奢ることでちゃらにしてやる」
福島正則は蜂須賀家政をなだめながら笑顔で言った。彼は城攻めに固執した訳じゃなく、俺のことを心配して助勢を名乗り出たのだろう。福島正則は良い人だなと思う。この人が養子を餓死させて実子を後継者に据えるなんて想像もつかない。
「そんなんでいいんですか?」
「旨い酒を頼むぞ!」
福島正則は豪快に大笑いしながら言った。その陽気な様子に蜂須賀家政も気分が削がれたのか怒りが収まっている様子だった。
「まあなんだ。私も酒でいいぞ。上物で頼む」
蜂須賀家政も口元に手を当てながら酒を要求してきた。
そんなに酒が好きなのか?
「城も落ちたし、俺達も急ぎ小田原に向かうことになるはずだ。小田原に着いたら三人で飲み明かそうではないか!」
福島正則は愉快そうに笑うと俺を抱き起こし自分の背中に乗せ、蜂須賀家政の肩を抱きしめながら威勢良く言った。
俺は嫌な予感がした。福島正則は凄い飲兵衛だったように記憶している。記憶が飛ぶほど飲まされる予感がする。
「小田原に着いたら悠長に酒を飲む暇は無いのではありませんか?」
俺が婉曲に酒を一緒に飲むことを断ろうとすると、福島正則は蜂須賀家政の肩から手を離し、頬を指でかいていた。
「その心配は
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