第62話『看病』
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「俺が何かしたのか!?」
考えてみるも、全く見当もつかない。第一、結月が風邪だから休んでいた訳で、決して遊ぶためとかでは無いのだが・・・うぅ、わからない。
「そんなことはいいの! 結月ちゃんは大丈夫なの?!」
「落ち着け莉奈。結月の熱はもう下がってるから平気だ。今はベッドで寝てる」
「良かった〜」
「かなり心配してたみたいだな。そんなに仲良かったか?」
「そりゃ一目出会ったときから、私と彼女は友達ってものよ!」
「ごめん、ちょっと何言ってるのかよくわかんない」
ここで大地が、晴登と莉奈の漫才に耐えきれず吹き出した。・・・いや、漫才してるつもりは無いのだけれど。
「結月ちゃんが寝ているなら、無理に会わない方が良いかな。今日はしっかり休んで、明日は学校にちゃんと来いよ、お前も」
「おう、ありがとう」
「それじゃあ私達はおさらばするね。バイバーイ」
「また明日なー」
二人が去ると、一気に静寂が訪れる。しかし、晴登の心は嬉しい気持ちで満たされていた。なぜなら、結月が皆に心配されていたことがわかったからだ。ちゃんと、結月もクラスの一員になれていたみたいで良かった。
さて、そろそろ夕食にしようか。そう考え始めた時だった。
「ただいまー!!」ガチャ
「お、智乃。おかえり」
「え、お兄ちゃんに出迎えられた!?」
「そんなに驚くことか・・・?」
智乃の言葉に呆れる晴登だったが、ふと智乃の持つビニール袋に気づく。
「それ、どうしたんだ?」
「あ、これね。結月お姉ちゃんのために、晩ご飯の材料を買ってきたの!」
「おぉ助かる。なるほど、道理で帰りが遅い訳だ」
「へへっ」
智乃が頬を掻きながら、無邪気に笑う。つられて晴登も微笑みを浮かべた。
「じゃあそろそろ夕食にしよう。結月を起こして来てくれないか?」
「りょーかいっ!」
「ちなみに、何の料理の材料を買ってきたんだ?」
「え、決めてない。健康に良さそうなのを買ってきたの」
「えぇ……」
微笑みが一瞬で打ち砕かれ、困惑の表情へシフト。どうやら、材料に合わせて料理を創作しなければいけないようだ。
「頑張るか…」
*
「ごちそうさま! さっすがお兄ちゃん、美味しいご飯だったよ!」
「うんうん、ハルトの料理は最高!」
「過大評価し過ぎだけど、喜んで貰えて何よりだよ。じゃあ、そろそろ風呂を入れるけど・・・」
そこまで言いかけて、晴登はチラリと二人の様子を窺う。いつかの流れだと、ここで言い出すはず・・・
「ねぇお兄ちゃん、一緒にお風呂入ろう
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