第62話『看病』
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る。
頭がまだボーッとするが、晴登はまず、浮かんだ疑問を処理することにした。
「どうしてお風呂に?」
「ずっと寝てるせいで汗かいちゃったから。身体はいくらか楽になってたし、シャワーくらいは浴びれるかなって思ったの」
「なるほど」
これで一つの疑問が解決する。しかし、晴登にはもう一つの疑問があった。
というのも、今の晴登は床で寝ているのだが、後頭部の感触が床のそれとは違うのだ。枕の様な・・・というか枕より柔らかい感触。加えて、結月の顔が目の前にあることを考慮すると、言えることは一つ。
「あの、どうして俺は…膝枕されてるの?」
「ボクがしたかったから」
「え、あ、はい……」
それなりに大事なことのはずだが、一言で片付けられてしまう。こうなったら、もう掘り返すのは止めておく。
寄り道があったが、とりあえず本来の目的を果たそうと思う。
「結月、今から昼食にするけど良いか?」
「もちろん! 寝ているとお腹も空いてくるんだよねぇ」
「食欲がある…? もしかして・・・もう風邪が治ってるんじゃないか? 熱を計ってみよう」
晴登は起き上がって体温計を取り出し、結月に手渡す。そして彼女は、自分で熱を計り始めた。
ピピピピピ
「31.1℃・・・普通の人間なら即死レベルだけど、結月だとこれが平熱だろうな。ということは、もう風邪は治ったのか」
「そうなの? ハルトのお陰だね! ありがとう!」
「へ!? あ、あぁ、どういたしまして…」
真っ向から感謝されると、素直に照れてしまう。晴登は頬を掻きながら、昼食の準備のため、そそくさと場を離れる。結月の名残惜しそうな表情が見えたが、なんとか無視を装った。
「何が食べたい?」
「ハルトの作るものなら何でも良いよ!」
「いや、その答えが一番迷うんだけど・・・」
結月の調子が戻り、困り果てる晴登だった。
*
ピンポーン
窓から見える空がオレンジ色になってきた頃、家のチャイムが鳴る。この時間帯に訪ねてくるということは、宅急便とかだろうか・・・
「はーい」ガチャ
「「やっほー!!」」
「莉奈と大地!? 何で?!」
「何でって、そりゃ結月ちゃんが気になるからだろ。お前も休んでた訳だし、クラスでもかなり噂になってたぜ」
「え、どんな……?」
何だか嫌な予感がするが、聞かずにはいられない。そんな晴登を見て、大地は徐に口を開く。
「『あの二人、今頃きっと楽しんでいるんだろうなぁ…』ってな」
「……何を?」
「さぁ、それは俺にもわからん。ただ…明日は皆に気をつけろよ」
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