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駄目親父としっかり娘の珍道中
第83話 無邪気な子供は時々残酷な事を楽しむ事もある その1
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てその場に放り投げた。千切られた男の腕があった箇所から血が噴き出す。

「―――――!!!!」
「酷い事するねぇ・・・結構痛かったよ」

 言いながら、なのはは自分の右胸に突き刺さったナイフを掴むと、何事もなかったかの様に抜き取り、その場に捨ててしまった。
 刺さった箇所からは、血が流れ続けていたのだが、それも少ししたら塞がり、元通りに治ってしまった。

(回復魔法! 嫌、違う! 最早そんな原理の話じゃない! こいつの自然治癒能力とでも言うのか? こんな怪物・・・俺達にどうやって捕獲しろって言うんだよ!!)
「このバリアジャケットって・・・案外不便なんだね。魔法攻撃はある程度防げるみたいだけど、さっきのみたいな刃物を防ぐにはもうちょっと魔力を注いで強化しないと防げないなんてね」

 刺さった箇所の空いた穴を摩りながらなのはは呟く。全くダメージを負っていない。それどころか、先の不意の一撃のせいで彼女の怒りが更に増大したかの様に思われる。
 
「さてと・・・覚悟は出来た?」

 最後勧告と共に、なのはの腕に魔力が集まっていくのが見える。集まった魔力の束はやがて腕に纏わりつき、青白いオーラを放ち始めた。

「出来てなかったんなら・・・ご愁傷様」

 そう言い残し、魔力を貯めた方の腕を男の顔に取り付ける。そして、ため込んだ魔力の一切を男の頭部へと一気に注ぎ込んだ。
 余りに膨大な量の魔力を一気に注がれた為か、男の両の目は潰れ、脳は破裂し、頭蓋は砕け、その残骸が口から垂れ流し状態となった。
 完全に息の根が止まったのを確認したなのはは、掴んでいた男の頭部を何の未練もなく握りつぶした。
 頭蓋が砕けていた為にまるで果実を握ったかの様に意図も容易く男の頭部は潰れ、頭部を失った体は生気を失い重力に従い動かなくなった。
 屍と化したそれをなのははその場に放り捨て、空を見上げた。
 空には、まだ先ほどやってきた管理局の戦艦が漂っている。
 恐らく、先の惨劇は既に連中の目に届いている筈。
 だが、そんなの関係ない。
 今のなのはにとっては、奴らは只の標的でしかないのだから。




     その2へつづく
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