聖者の右腕W
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とした意識の中アインが最後に見たのは羽状の腕を器用に使って海面に向かって泳ぐ怨霊の姿だった。
〜キーストーン内部〜
「オイ、オッサン!アイツは、アインはどうなった??」
「もう、最下層ごと沈んだでしょう。見なさい、下を。すでに海中が見えている。彼がいくら強靭でもさすがに水の中では生きられません」
「じゃあ・・・」
「それよりも今は私たちが生き残ることを考えましょう。今外は特区警備隊でいっぱいのはずです。しかし馬鹿正直に真正面から出て『被害者です』だなんて言ったらそれこそお縄でしょう」
「ならどうすれば・・・!」
「・・・浅葱だ!あいつならここの裏口とか知ってるかも知れねぇ!」
慌てて浅葱の携帯番号にかける古城。その間も海水は刻一刻と迫ってきており、結局階段を駆け上がりながらスピーカーモードでコールをかける事となった。そして6回目のコールで浅葱は電話に出た。
『古城?古城なの??あんた今どこにいんの??』
「それも含めて全部あとで話すから教えて欲しい事があるんだ」
『な、何よ?』
「キーストーンゲートのビルの正面玄関とは別に裏口みたいなのを知らないか?」
『はぁ??あんた今ビルにいるの??』
「頼む、些細なことでもいい!何かそれっぽいものは無いか??」
『ええっと・・・!あ、職員用出入り口があったはず!』
「場所は??」
『正面玄関の真反対!その方向にまっすぐ行けば職員用って書かれた通路があるからそこから出られるわ』
「サンキュ、浅葱!」
古城は手早く電話を切ると乱雑に携帯をポケットに突っ込み足を早めた。
「(あー、苦しい。俺ってエラ呼吸できなかったっけ?あ、できなかったわ。生命の神秘とやらで短時間の進化とか無ぇかなー。ポ◯モンとかいい例じゃん。つーかあれどうなってんのよ?成長痛とかすごくね?教えてよオー◯ド博士)」
現実を考える事さえも放棄しそうな勢いで現実逃避をするアイン。そろそろ酸欠がやばいらしい。
「(しっかしあの怨霊キモかったなー。いやまぁ原因は俺なんだけどね?にしてもあのビジュアルは無いわー)」
思い出せば思い出すほど吐き気を催すような醜悪な姿が鮮明に浮かんでくる。
「(あ、走馬灯?ってやつ見えてきた。あれは・・・姫様に暁古城と姫柊雪菜、オー◯ド博士・・・いや待て最後のは何だ変なの混ざってたぞ)」
人生で初めて見る走馬灯に何か混じっているのは果たして大丈夫なのだろうか。そんな考えを胸に抱きながらアインの体は沈んで行く。
「(アリア・・・もうすぐお前のところに行くかもしんねぇわ・・・つーか行くわ)」
アインは1年前に失った最愛の人の笑う姿を脳裏に思い浮かべながら目を閉じた。
「あった!これか!」
扉はひしゃげて鍵は壊れており
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