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北欧の鍛治術師 〜竜人の血〜
聖者の右腕W
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「宣教師!これ持ってけ!」
そう言ってアインが投げたのはアインが台座ぶつかった時に定位置から外れて床に落ちた右腕。
「代わりにその2人を必ず逃がせ!それが条件だ」
「分かりました。必ずや逃がして見せましょう。アルディギアの鍛治師よ、感謝します!」
「先輩!早く!」
「でもあいつが!」
「もう助けられません!それともアインさんが命をかけて助けてくれた命を無駄にするんですか??」
「くそっ・・・!」
「さっさと行け!俺はもう片足が動かん。すぐに上層にも浸水するぞ」
そうこうしているうちに入り口付近の天井が崩れて部屋は完全な密室状態となった。
「さて、と。お前と俺だけになったがこれからどうする気だ?」
アインが語りかけるのはアインが呼び出した悪霊のうちの一体。強い怨念を持っていたために神気を喰うだけでは満足いかず、近くにあった大きな魔力の塊に取り憑いたのだ。アインの懸念はこういった強力な怨念をもった霊が出てくることだった。
『憎イ・・・』
「憎いだぁ?」
『生者ガ、憎イ・・・我ヲ、殺シタ、者共ガ、憎イ・・・』
「最近じゃ珍しいガチガチの怨霊かよ。あんた収集趣味のある奴のとこに行ってきたらどうだ」
『復讐・・・復讐・・・ソウダ、復讐・・・殺ス・・・殺ス・・・殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺スウウウウウゥゥゥゥッ??』
「はぁ・・・面倒以外に言葉が見つからねぇ」
早くもホームシック気味になるアイン。薔薇の指先はその姿を先のそれとは見違えるほどに禍々しいものに変化させていた。白かった甲殻は赤と青が混じった彩度の低い紫になり、アスタルテが入っていた緑色の水晶のようなものがあったところには鬼の如き形相の顔面が2つ、胸に埋め込まれるようにして生えている。肩と背中の間からは新しく左右2対4本の筋骨隆々の腕が出現していた。しかもそのうち1対はコウモリのように羽と腕が一体化した構造になっている。アインも新しく鞘付きの剣を数本実体化して腰に差し、そのうち1本を鞘から抜いて構える。
『死ネエエエェェェェッ??』
「マジかよ??半端ねえ力だな、オイ!」
怨霊が腕を一振りしてアインのいた場所を叩くと
床にも大穴が開いて海水が流れ込んできた。
「急がねぇとまずいなこりゃ」
アインは怨霊の猛攻を避けながらその巨体に近づき、剣を関節や翼の膜の部分に突き刺していった。部屋の海水がアインの腰あたりまで達した時、怨霊が最初に開けた穴の亀裂が嫌な音を立てて広がり、さらに大量の海水を部屋に注ぎ込んだ。それに気づいた怨霊はその穴の周囲を破壊し始めた。アインは剣に込めた術を発動させるために急いで祝詞を唱え始めるが壁の崩壊の方が早く始まり、海水が一気に部屋を満たして祝詞を唱えるのが困難になった。怨霊の破壊は続き、ついに部屋は崩壊してアインもろとも海底へと沈んでいった。朦朧
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