聖者の右腕W
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め、跳ね返す。そしてその隙に術式の効果を検証することも忘れない。
「分かりません!少なくとも、魔力は全て無効化されっ・・・ますっ!」
そうこうして10分ほど打ち合った時には、アインの剣は刃こぼれを起こしたり刀身が折れたりしたものが十数本にも及び、それらが床に散乱していた。
「魔力は打ち消されて、物理攻撃は単純に硬い殻で弾かれる、と。中々に厄介な相手だな」
「どうやって攻略すれば・・・」
「博打でよければ手はあるぞ」
「博打って・・・何する気なんですか?」
「おい暁古城!バトンタッチだ!このデカブツの相手をしろ!」
「はぁ??後退しようにもできねぇよこのオッサン攻撃の手が休まらねぇ!」
「面倒だなまったく!」
アインは刀を二本実体化させて薔薇の指先の股の下に滑り込んでそのままオイスタッハめがけて一直線に走る。薔薇の指先もその後を追おうとするが雪菜が背中を切りつけて注意を引き付けた。
「行かせません!あなたの相手は私です!」
「足止め頼むぞ!」
アインの視界の端には殴りかかる薔薇の指先とバックステップで避ける雪菜の姿。ありゃあ心配なさそうだな、と考え意識をオイスタッハと古城に向けた。速度を保ちつつ、オイスタッハに突撃する。横からの攻撃を察知したオイスタッハはとっさに半月斧でガードした。
「行け!暁古城!」
「おう!」
古城が離れるのについていくように獅子の黄金もその場を離れ薔薇の指先へと突撃していった。
「よう宣教師、さっきの再戦といこうじゃねぇか」
「何か策があるようですが、魔力を無効化する鉄壁の前では無駄です!」
「誰が魔力をどうこうする、なんて言った?」
「なんですと?」
アインは勢いよく刀を自分の腿に突き刺して祝詞を唱え始めた。
「この世に巣くう邪の魂よ。我が血の染みた剣を与えよう。我が手で打ちし剣を捧げよう。この世の理から外れた者よ、獣よ、霊魂よ!我、汝らの魂を我が剣をもって解き放たんとす!」
祝詞を唱え終わった瞬間、腿に突き刺した刀から垂れた血が意思を持ったかのように蠢き出し、その質量を増大させ、雪菜達のいるあたりに落ちている剣に向かって触手のような物体を伸ばして、剣を『喰らった』。血の塊は次第に人のような形を取っていき、ついにその身長は古城を超えた。
ソレは呻くように頭に相当する部分を抱えながら体を激しく動かすほどに苦しんでいた。よく見るとソレの血で赤黒い体の表面には苦悶の表情を浮かべて何かを叫んでいるようだった。
「さあ!解き放たれろ!その醜い姿を世に現せ!」
ソレは大きな咆哮とともに身体中から無数の邪霊と悪霊を吐き出し、全ての魂が出切ったところでその形を保てなくなりグチャグチャとグロテスクな音を立てながら溶けてただの血に戻った。
「・・・あなたは何者なのですか?今のは
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