6. 二人で一人(1)
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私の胸を温めてくる。
「っく……」
「涼風?」
「……っ……く」
「?」
鼻の奥がツンと痛くなり、喉がぎゅうっとつまりはじめた。いけない。泣くな。ここで泣いたらゆきおに心配をかける。私は今日、ゆきおと笑って話をするためにここに来たんだ。泣いちゃいけない。
私が自分の胸の痛みと挌闘して、なんとか涙を流すまいとがんばっている、まさにその時。
「……涼風」
私の左肩に、カーディガン越しの、ゆきおの手の優しい感触があった。ゆきおが、私の左肩に、ぽんと右手を置いてくれた。
「……?」
「何で落ち込んでるのか知らないけど……」
「ゆ……き……」
「早く解決するといいね」
ゆきおの右手が、私の肩を弱々しくキュッと掴んだ。顔を上げ、知らない内に滲み始めた視界をゆきおに向ける。ゆきおは、優しく微笑んでいた。
「ゆきお……」
「ん?」
「気付い……て……」
「だって、ノックに元気がなかったもん。いつもならドッカンドッカンやってくるのに」
「……」
「それに、部屋に入ってきた時からずっと、泣きそうな顔してた」
私の左肩に置かれた、ゆきおの弱々しい、優しい右手を見た。14歳の男の子の手にしてはとても白くて、か細く、そしてとても暖かい右手だ。その手が私の力になろうと、私の肩を優しくキュッと掴んでいる。落ち込んだ私を励まそうと、冷えきった私の肩に、暖かいぬくもりをくれている。
「……」
「……」
ゆきおの右手に、私の右手を重ねた。私の手と同じぐらいの、男の子にしては小さなその手は、とても力が弱くて、でもとても柔らかくて温かく、私を守ろうという優しさに満ちていた。
「……ゆきお」
「ん?」
私は再び、ゆきおの目を見た。先ほどと変わらない微笑みを向けていたゆきおは、ただ、静かに私を、ジッと優しく見つめ返してくれていた。
「……あたいさ。明日、出撃するんだ」
「そっか」
震える喉が、私の意識を離れた。唇が私の意思に反して、明日の出撃のことを話し出した。
「あたいさ。ほんとは……ずっと戦えなかったんだ。戦おうとしたら、怖くて怖くて、身体が言うことを聞かなくなっちまってたんだ」
「うん」
「だから……明日、ちゃんと出撃出来るのか、不安で仕方なかったんだ」
「うん」
今声を上げれば、鼻に走るツンとした痛みがさらにひどくなって、私は涙がこらえきれなくなってしまう。それでも私の唇は、話すことをやめようとしなかった。両目に溜まる涙が少しずつ流れ落ちはじめた。それでも私は、今の気持ちを言葉に紡ぐことを、やめなかった。
「提督も『無理しなくていい』って言ってくれたからさ。やめようかと思ってたんだ」
「うん。命がけだもんね。こわいよね」
「あたいは
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