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俺の涼風 ぼくと涼風
6. 二人で一人(1)
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本を覗き込んでみることにする。

「? どうしたの?」
「ゆきおは何を読んでるのかなーと思って」

 開いているページを覗き込んでみたのだが……何やら小難しい文章が長々と続いている。何について書かれているのかさっぱり分からないが、私の理解の許容量を超えたものであることだけは理解出来た。

「なんか難しそうだなー……」
「そうでもないよ? ちゃんと読めば、涼風も分かると思うよ?」
「そうかー? チラッと見ても、あたいには理解出来そうにねえよー……」
「そんなことないよー……だって……」

 眉間にシワを作り、困った顔を浮かべたゆきおは、いつかのように『ふんっ』と声を上げ、読んでる本を持ち上げてひっくり返す。本の表紙と背表紙には、『艦隊戦』と書かれていた。

「ほら。艦隊戦の教則本。父さんからもらったんだよ」
「へー……砲雷撃のやり方が書いてあるのか?」
「というよりも艦隊戦の基礎と指揮のとり方かな。父さんが士官学校に通ってた時の教科書なんだって」
「へー……」

 そう言われ、私はその本をゆきおから受け取って、改めて中のページをペラペラとめくってみた。確かにこれは、艦隊戦全般に関する説明や指揮のとり方、弾道計算なんかかが事細かに載っている。

「ふーん……」
「確かにこうやって本にされたら難しく見えるけど、きっと涼風が、いつも無意識にやってることだよ」

 私の心臓にイヤな鼓動が走った。身体が少し、寒くなった。

「う、うん……」
「?」

 そして、そのせいで私の様子がおかしくなったことに、ゆきおが気付かないはずがなかった。

「涼風?」
「ん? どうした?」
「大丈夫?」
「なんで?」
「だってほら」

 眉を八の字型にしたゆきおが、立っている私の右手に触れる。自分自身でも気が付かなかったが、本を支えている私の両手は、少しだけカタカタと震えていた。

「手が震えてる」

 ゆきおの声が、じんわりと私の胸に染みこんでいく。心地いい声が、私の耳に優しく届く。私は動揺をさとられまいと、努めて元気に振る舞おうとした。

「だ、大丈夫だって! なんでもねーよ!」
「そお?」

 がんばって笑顔を作り、力を振り絞って大声を出した。私は、今出せる精一杯の空元気を振り絞る。本をゆきおの膝の上にボンと投げ捨て、両手で力こぶを作って、何も問題がないことをアピールした。

「ほら! げんきー!」
「……でも、震えてたよ?」
「だーいじょうぶだって!」
「でも……」

 精一杯空元気を振り絞る私に対し、ゆきおは思いの外しつこく食いついてくる。ほとほと困っていると、私の視界のすみにあった窓が、全開になっていることに気がついた。開いた窓からは、少し冷たい風が入り込んでいて、カーテ
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