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アタエルモノ
第一話
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「俺は八重樫 真広。よろしくな。」
 
俺も右手を挙げて挨拶する。
 
「しっかし、この学校に入学できたってだけでツイてるよな。」
 
福島は俺の方に体を向けて話しかけてきた。
 
「確かにそうだよな。入試問題は難問揃い。推薦枠も少なくない訳じゃないけど、狭き門。簡単に入ろうと思ったら、裏口位かな。」
 
俺は肩をすくめながらそう言った。因みに俺は普通に入試だ。
 
「でも、入学金の高さにもびびった訳で…………。」
 
「…………おう。」
 
ぶっちゃけると、ここの入学金やら学費やらは、普通の私立校より割高となっている。その分、校内の設備や授業レベルはなかなか高い。それ目当てで入学する奴が大半だ。
 
「ま、俺はバイトしながら多少なりとも学費の足しにさして貰うけどな。」
 
…………しかし、奨学金などを受け取ってない生徒はバイトをしながらでないとお金がきびしい。
 
「八重樫は?なんかバイトすんのか?」
 
福島は体を乗り出して聞いてきた。なかなかグイグイ来る奴だ。
 
「いや、事情があってな。高校三年間は大丈夫だ。」
 
と言うか、下手したら一生大丈夫かも知れないが、それは親父達と話し合って、止めておくことにした。
 
「ふぅん、羨ましいわー。それなら部活に集中できるな。」
 
そう、俺はその浮いた時間を部活に注ぎ込もうかと考えていた。中学生の時は、家庭の事情で出来なかったってのもあるから、余計に何かしてみたい。幸いにも、部活動は沢山あるから、どれかは合うだろう。
 
「まぁ、その辺は今日これから見てみるよ。」
 
俺はそう言うと、スマホを取り出して時間を見た。
 
十一時半。
 
ふむ…………。
 
俺は少し考えた後、立ち上がった。
 
「ん、どこ行くんだ?」
 
福島が俺を見上げながら聞いてきた。
 
「いや、学食でなんか食ってこようかなと。今日はお袋が寝坊しやがって。」
 
まさか入学式の日に家族全員で寝坊するとは思わなかった。おかげで今日の昼飯は学食だ。
 
「ふぅん。俺は弁当だから教室で食うわ。」
 
と、弁当箱を取り出しながら福島は言った。
 
「そうか、それじゃ、また明日な。」
 
「おう、また明日。」
 
俺は福島にそう言うと、カバンを持って教室を出た。
 


―食堂―
 

 
「まさか校内で迷う事になるとはな…………。」
 
俺はそう言いながら、食堂がある建物の中に入っていった。
 
あれから、どこぞの大学並みには広いんじゃないかって言う校内を歩き回って、ようやくたどり着いた。途中で校内地図を見つけて無かったらどうなってたことやら。
 
さて、今日は入学式と言うこともあってなのか、ほ
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