第一章 天下統一編
第二十三話 降伏
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景を見た韮山城を包囲する豊臣軍の武将達は俺の力を認めざる負えなくなる。
後から加わった武将の功績など水泡に帰す。なぜなら北条氏規は俺の天ヶ岳砦を落としたことで抗い難しと考えての降伏と印象づけられるからだ。
城攻めの手柄は俺の総通りになる。福島正則・蜂須賀正勝には悪いと思うが何かで埋め合わせさせてもらう。
ここまで上手くいくとは思っていなかった。
だが油断は禁物だ。
俺は自分の兜の紐を締めなおした。
さて、行くとするか。
俺が陣所の外にでると家臣達が群をなし俺の元に駆け寄ってきた。全員、俺を尊敬の目で見ている。
すごく恥ずかしい。
「皆の者、準備は整っているか?」
俺が言うと「万事整っております!」と主だった家臣達が凛々しい表情で俺のことを見ていた。全員が俺の快挙を喜び歓喜しているようだった。
数日前と兵達に漂う空気が全く違う。兵達の気持ちが一つになった印象がある。
これならいける。
俺は唇を真一文字に閉めた。
「皆の者、目指すは天ヶ岳砦。小出軍は一兵も失わずして朝日を拝むぞ!」
俺は息を吸い込むと声を大にして叫んだ。その声に応えるかのように兵達はありったけの力を振り絞るように雄叫びを上げた。彼らの声の大きさに俺の体を揺さぶるような感覚を覚えた。
俺の口元が綻びた。自然と俺は笑い声を上げていた。
「小出軍は寄せ集めの軍にあらず。名将・小出相模守俊定の精鋭ぞ! お前達は俺の自慢の家臣達だ。この俺についてきてくれるか?」
俺はついつい地の口調で兵達に声をかけた。兵達は俺に応えるように更に雄叫びを上げた。
「いざ、出陣!」
俺の檄とともに曽根昌世が兵達に激を飛ばした。兵達は彼の命令に従い規則正しい動きで江川砦を出立する。
俺達は江川砦を抜けると江川英吉の案内で天ヶ岳砦に続く麓に着陣した。ここで柳生宗矩が煙硝蔵を爆破するのを待つことにした。程なくして本丸から爆音が鳴り響き、それに遅れて黒い煙が立ち上っていた。それに合わせ俺達は天ヶ岳砦へ侵攻した。天ヶ岳砦は抵抗らしい抵抗が出来ずに半刻(一時間)で陥落した。こんなに脆いものなのかと感じてしまった。
俺は天ヶ岳砦に立っている。
眩しい陽光を身体一杯に浴びている。今日ほど朝の光景が美しいと感じたことはない。生きていることを実感した。
「良い眺めだ」
俺は天ヶ岳砦から望む韮山城下の光景を一望した。韮山に布陣する豊臣軍の動きが手に取るように分かる。これでは大手門を正面突破できるわけがない。韮山城は城内に侵入した大軍を狭路に誘い込む構造をしている。面倒な構造だ。だが、被害を度外視して城攻めを行えば城を落とすことは可能だろう。
「殿、北条の旗を下げ代わりに我ら
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