第一章 天下統一編
第二十三話 降伏
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お前は誰だ?」
俺は目を細め寝ぼけながら相手に質問した。
「殿、何を寝ぼけておられるのです。長門守にございます」
「長門守?」
俺は目の前の顔を目を凝らして見た。藤林正保がそこにいた。
「もう時間か?」
「はい、直ぐにでもお支度をお整えください。兵達の準備は内匠助殿が指示を出しております。そのようなしまりの無い顔では兵達に示しがつきませんぞ」
藤林正保は厳しい表情で俺に言った。
まだ眠い。
だが、このままでは機会を逃すことになるから起きるとしよう。
身体が重い。城攻めが終わったら爆睡してやる。
俺は、大あくびをすると、重い体をゆっくりと起こしゆっくりとした足取りで具足が置いている場所に近づいた。
「殿の出立のご準備をせよ」
藤林正保の声とともに引き戸の扉が開き、小姓達が俺の寝所に入ってきた。彼らはたったままの俺に具足をつけていってくれる。次に陣羽織、その次は兜と慣れた手つきで俺の軍装を整えていってくれた。そして、最後に俺に刀が渡される。俺はそれを受け取り腰に差すと自分の姿を下から首元へ向け視線を動かし軍装の確認を行った。
問題ないな。
俺は藤林正保の方を向いた。
「殿、ご立派にございます。兵達は殿の出馬を今か今かと待っております」
「大げさだな」
俺は苦笑しながら藤林正保を見た。
「何を言っておられるのです。四万の大軍で突破できなかった大手門をあっという間に突破し砦を一つ落としたのです。その上、砦の守将を降伏させたのです。兵達は殿の知謀振りに感服しております」
藤林正保の褒め千切られた俺はこそばゆくなり頬をかいた。
「わかった。わかった。長門守、さっさと天ヶ岳砦を落とそうではないか」
既に緒戦での目標は達した。後は天ヶ岳砦を落とし、本丸に籠る北条氏規に降伏を迫ればいい。江川英吉の話では北条氏規は城を枕に討ち死にする気はないと思っている。
北条氏規の狙いはどんな形でも北条家を残すことができればいいと考えているようだ。そのために籠城にて戦い抜き北条家の意地を秀吉に示したい。要するにささやかな抵抗ということだ。
だが、それが不可能ならば、北条氏規はいかがして御家を守るという目的を達するかということだ。
俺は江川英吉を通し北条氏規に北条家の家名を残せるように尽力することを約束することにした。
北条氏規は俺の助け舟に乗ることだろう。そのために北条氏規には俺の武勇を天下に示すために力を貸してもらうことにする。
その方が北条氏規にとってもいいはずだ。世間が北条氏規は名将に敗れたと認知すれば、北条氏規の敗北は仕方なかったことになり彼の面子も立つからだ。
北条氏規が書状の内容を飲むならば彼は本丸開城し俺に降伏するだろう。
その光
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