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俺の涼風 ぼくと涼風
5. 海に出たことのない艦娘(2)
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ん」
「……そうか」

 いつの間にか、ゆきおも顔を上げ、提督の顔を見ていた。それに気付いた提督は、再びゆきおの頭をワシワシと撫で始める。ゆきおはもう、それを嫌がる素振りは見せなかった。ほっぺたを赤くして、ちょっと困ったような笑顔で、それを受け入れていた。

「……涼風」
「お、おうっ」

 突然提督に名前を呼ばれ、慌てて返事を返す。その途端、提督の手は私の頭にも伸びてきて、私の頭をワシワシと撫で始めた。私の髪が、提督の手で、ワシワシと乱れ始める。

「ち、ちょ……提督!?」
「……涼風、ありがとな」
「へ?」
「父さん?」
「俺の息子に……雪緒に、本当の海を見せてくれて、ありがとな」

 さっきまでの、冷静で冷たい声とは違う……それこそ、ゆきおのように温かく心地いい……でも、ちょっと詰まったような声で、提督は、私にそう言ってくれた。

 私の頭をワシワシとなでる提督の手は、今私が握っているゆきおの手と同じく、とても温かかった。?


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