第五章 Over World
たから、みんなで
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「どうすればいいの・・・・」
暁美ほむらは、カケラを覗く。
覗けども覗けども、そこに答えはありはしない。
拳を握り、憤ってしまう。
この状況から抜けられないことに、全身が振るえている。
「あら、こんなところでどん詰まりかしら」
「うるさい・・・・」
そんなほむらを、梨花が後ろから茶化す。
梨花がチラリと視線を逸らすと、やはりそこには大きなカケラが存在していた。
さっきからそこにあるというのに、彼女にはそれが見えていない。
いくら真正面に持ってきても、いくら周囲を見渡しても、ほむらはそのカケラの周りをウロウロしながら、それを見つけられないでいる。
その様子が面白いのか、ワイングラスを傾けながら、梨花はクスクスと笑っていた。
「大丈夫かしら?」
「うるさい!」
聞いておきながら、その声は楽しんでいた。
ほむらはその声に、はじけるような声で叫び返した。
あらあら、とでも言いたそうに肩を竦め、おどけて見せる梨花。
その梨花を睨みつけ、ほむらがイラついた声で問いかける。
「一体どういうこと・・・なんでこの先に進めないの?」
「そりゃ、あなたが気づいてないからでしょう」
「何を!!」
「それはあなたが見つけることよ」
バンッ!!
何を叩いたのか。
ほむらの足が、何かを踏みつけたかのように音を鳴らす。
少し眉を上げ、眺める梨花。
「最初から思ってたけど・・・貴女何者なの・・・・」
「最初に自己紹介しなかったかしら?」
「いいえ・・・多分だけど、あなたは別の何か・・・そうね」
返答にふと、梨花の表情が少し止まる。
そしてニヤリと笑うと、面白そうに語りだす。
「へぇ、あなたって鋭いのね。やっぱり、同じみたいに時間を越えたからかしら?」
「じゃあ」
「今回限りの特別出張サービスでね。私みたいに運命の袋小路につかまっている少女がいるから、助けてくれって頭下げられたのよ」
彼には恩もあるしね、と言いながら、その話を受託したらしい。
恐らく、彼女の余裕はそこから来るものだろう。
「あなたが何度繰り返したか知らないけど・・・・」
「うん?」
「それでどれだけ、見た目以上の歳だとしても、私の苦悩を笑うのはやめてちょうだい」
「・・・・・・」
そのほむらの言葉に、梨花の表情が一気に冷める。
「あら・・・・まるで自分の方が、強力な運命の袋小路につかまったかのような言いぐさね?」
「・・・・・」
今度はほむらが黙る。
そうだ。
幾らなんでも、あんな絶望の運命に直
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