第五章 Over World
ここに、私がいるから
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父が死んだ。
弟も死んだ。
姉は捕らわれ、今目の前で少女が殺されようとしている。
少女が姉か妹かなんて、考えたことはない。
しかし、今重要なのは
その少女は、何にも代えて護りたい、たった一つの―――――
「やめて!!もう傷つけないで!!」
その様子を、つかまっていた少女は叫ぶ。
だが、いくら気概をもって打ち勝ったところで、所詮は子供だ。
十人以上の大人に勝てるわけもなく
その命は、あっさりと真っ二つにされて奪われた。
「嫌ぁァァアアアあああああ!!!!」
少女が叫ぶ。
そして直後、少女を掴む「悪魔」の手は、彼女の身体を引き裂いた。
ドクンッッ!!!
その瞬間
世界は暗転し、何もかもが消え失せた。
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「むにゃ?」
窓から差し込む陽気な朝日に、唯子のまぶたが刺激されて彼女が目を覚ます。
周囲を見渡すと、そこは教会の一室のようだ。
石造りの壁に、十字架をあしらったキャンドルスタンド等がある。
そして少しキョロキョロと見回し
「ここどこ?」
そんなことを呟くのだった。
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「ほう、気づいたらここに」
「そうなんですよね・・・」
そう言いながら、唯子は目覚めた教会で食事をもらっていた。
話し相手は、この教会の神父だ。
神父という印象で、紳士ともいえる感じがする、人当たりのいい老人。
今食事時を過ごしているのは、計五人。
先の二人に、二人の少年、一人の少女。
元気のある少年、すこし大人しいの少年、そして
「今日は元気がないですね?大丈夫かい?」
「あ・・・はい!」
少しぼんやりしている、一人の少女だ。
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唯子は教会の崖から、向こうを見る。
何かが来てくれる。
そんな気がする。
だが、それが何かがはっきりとわからないのだ。
風が髪を暴れさせ、それをかき上げて整える。
「お姉ちゃん」
「ん?」
その背後から、少女が歩み寄ってきた。
もう少し向こうには、村の子どもたちが遊びに来ている。
どうやら一緒
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