暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第五章 Over World
カケラ紡ぎ Tips1
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もこの空間から消えていく。
厳密には「観測できなくなる」のだが。


「あなたがどのカケラを選ぶのか。それを集めて、どんなカタチを作り出すのか。クスクスクス・・・・楽しみだわ」


「私の説明はここまで」と言わんばかりに、手にしたワイングラスを傾ける。
紫色の液体が喉を通って、飲みこまれていく。


「そんなことをしてどうなるの?」

「言ったでしょう。現実になると」


カケラ紡ぎは誰にでもできることではない。

この空間に入れるのも、ほむらが時間操作魔法を操り、尚且つ様々なループを繰り返したからだ。
そもそも普通ならここには入れない。

また、ここに至るのにも、時間に関わると言うだけでは無理だ。
それを可能にしているのが、梨花と羽入の力。

今現実では、ソファに2人が肩を貸しあって寝ている状態。
そして羽入はそれを安定させ、この空間を維持している。



「もしも――――ここであなたが「ケンカした友達と会う」カケラを見つけて、それを仲直りさせるようにしたのならば、その欠片を現実に持ち込んだ時「仲直りした」結果が現実に現れるわ。最終的に、あなたはその子と仲直りしたことになる」

「それは・・・・過去の改変ということ?」

「いいえ。これは結果の観測、そして反映よ」




要は、結果だけを持ってくるということだ。

長ったらしい戦闘描写や、途中の話をすっ飛ばして「こうなりました」という最終的な結果。
それをこの現在に張りつける。

そうすることで、この現実を改変する力。
それがカケラ紡ぎ。


「でもそのカケラをどのように加工して、どんなふうに組み合わせるかはあなた次第よ」


ブワッ!と、ほむらの周囲にカケラが浮かび上がる。
それの表面は歪んでおり、中の光景まではっきり見えていない。


「最初の一歩くらいは手助けしてあげる。ここにあるのは、あなたが最初に選ぶべきカケラよ」


中身が見えないのは、確定していないから。
どれを選ぶのかは、彼女自身。

そしてそこから見える光景を、どのようにできるのかも、彼女自身だ。


「ここに揃ったのは、どれも両立できないカケラよ。一つ選べば、他は消える。たった一回きりなのだから、良く考えて選ぶといいわ」

「一回・・・・」


この言葉が、これだけ重く圧し掛かる。
何度続くかわからない選択を、正解し続けなければならない。

ほむらは、自らの左腕を見る。
そこには時間の砂が詰まった盾がある。


ひっくり返せば、一か月前に戻ることができる。
それを繰り返して、ほむらは何度も見滝原を経験してきた。


「ここでそれは意味を為さないわよ」

「ッ・・・・・」


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