第五章 Over World
似て非なる物だと知るがいい
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アッパーカットの要領で、蒔風の胸にキュゥべえの拳が突き刺さる。
その衝撃に蒔風が、空気と一緒に声を吐きだして倒れる。
バシャァと、背中から後ろに地面に落ちる蒔風。
呼吸が詰まったのか、胸を押さえてゴホゴホと咳をする。
「え・・・・?」
なのはが間の抜けた声を出す。
そう
たったのそれだけなのである。
殴られた蒔風は、なんの変哲もなくその痛みに胸を押さえ、目には苦しそうに涙が少し溜まる。
ペッ、と口の中に溜まった血を吐きだし、また咳をした。
その蒔風の音中をなのはがさすり、咳も次第に小さくなっていく。
四つん這いになりながらも、蒔風が胸を押さえてキュゥべえにニヤリと笑った。
「ゴホっ・・・どうしたキュゥべえ・・・・エネルギーが落ちているぞ」
「な・・・これは・・・・」
そして、なのはが改めてキュゥべえを見た。
そこには
「これはなんだ!?」
黒く蠢く、泥のようなエネルギーが、キュゥべえの右腕をザワザワと包み込み、その範囲を増やして浸食して行っていた。
疑問しか出てこないキュゥべえ。
その彼に、蒔風が答えを提示してやった。
「たとえエネルギーになったとしても、どれだけの時を経ようとも・・・・・その思いが消えることはないってことだ」
「なに!?」
「お前が手を出したものはな、インキュベーダー。そう言うものなんだよ」
パチャン、と静かに立ち上がる蒔風。
「山」の効果で多少脚も回復させてもらったなのはも、その隣に立つ。
「人の想いは消えはしない――――たとえそんな形にされたって、どれだけの時が経ったって!!彼女たちのそれを都合のいいように扱ったお前を、彼女たち自身がそれを許すはずがないだろう――――!!!」
蒔風がはは、と軽く笑い、くしゃ、と髪をかき上げながら語る。
「彼女たちの希望が、そしてその願いが、たかだかエネルギーにされて消滅するなんて、そんなことなかったんだ。彼女たちは、今だって戦っているんだ。その運命と!!自らをこんな姿にした、その元凶と!!どんなことになっても戦い続けているんだ!!」
蒔風の瞳が、まっすぐにキュゥべえを射抜く。
が、当の本人はその腕の処理に忙しいらしい。
バタバタとうろたえるそれに向け、蒔風がはっきりと言い放った。
「キュゥべえ、それが呪いだ。それが怨嗟だ。お前の知らない、感情の力だ」
「なぜ・・・だ!!」
ボトリと
キュゥべえが自らの腕を切り落とした。
黒いエネルギーはキュゥべえのその腕をボロボロと崩して、やがてちりも残さす消滅させる。
「こんな・・・こんなおぞましいモノ、
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