第五章 Over World
現実はうまくいかないな
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さて
堂々と啖呵を切った二人ではあるものの
キュゥべえと二人が互いを睨み付ける。
蒔風の額を冷や汗が垂れ、レイジングハートを握るなのはの手に力が籠められる。
それに対してキュゥべえはというと、さも余裕そうに片手をコキコキと握っており、どうにも形勢が逆転したようには見えない。
空気が流れる。
そして、それが一瞬音を失い――――
「行くぞ!!」
ドンッッ!!!
といいながら、蒔風となのはが銀白の光に包まれ、一気にその場を離脱していった。
「な、逃がさないよ!!!!」
ドウッ!!と、その後を当然追っていくキュゥべえ。
目の前を飛んでいく光球は確かに速いが、今のキュゥべえのエネルギーは無尽蔵と言ってもいい。
追い付くことも至極簡単ではあるし――――
ドォンッ!!
砲撃で撃ち落とすことだって可能だ。
キュゥべえの掌から放垂れたビームのような砲撃は、光球は見事命中し爆煙の中にかき消した。
が、その煙の隙間から光が漏れ、それを翼の飛翔で吹き飛ばしながら、蒔風が開翼して飛び出していく。
(あれだけじゃ足りなかったかな・・・・?)
実際に戦うのは初めてであるキュゥべえにとって、手加減という物は全くわからない。
そのエネルギーを思い切りブチかまそうが、その結果自分の身体が損傷しようが、この体に再構築したようにスペック分の肉体を呼び寄せて直せばいいだけだ。
ただ、今はこの感情という物を「処理」するために蒔風を追っている。
確かに彼は感情に気づきはした。
しかし、それが無駄なものであるという考えはいまだ健在だ。
ゆえに「この胸にある憤りは蒔風に向いたものだから、あれを捻りつぶせばそれも消えるはずだ」という考えなのだ。
だから一発で、一瞬で、何もわからないうちに潰すことはしない。
それで何か残れば、もうそれを「処理」する術が分からなくなってしまうからだ。
やはりこうなったとしても、この生物とはわかり合うことはできないのかもしれない。
「逃がさないよ!!」
「追いついて見ろ!!」
ドッ、ヒュヒュッ!!!
二体はいつしか市内に入っており、そのビルの隙間を縫うようにして飛行していく。
キュゥべえは腕を振るうこともなくエネルギー光球を周囲に展開し、それを一気に蒔風に向かって発射した。
それを肩越しに見た蒔風が、一気に上昇して行ってその光球から逃げていく。
蒔風の飛んだ跡には、その光球の小爆発がボボッボボボボボボ!!と連なっていく。
そうして飛んで回避した蒔風が、上昇から一気に下降していった。
向かう先は、後方のキュゥべえだ。
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