第五章 Over World
もったいないと思わないかい?
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っつけて偽物を用意したってこと?・・・・あれは!?」
のぞき穴から得られ得る情報をまとめると、用はそういうことらしい。
まったくもってまともでないし、つじつまの合わない話ではあるのだが、もう村人たちは止まらない。
その光景をのぞき穴から見、目の前を村人の足がバタバタと駆け回るなか、唯子は気付く。
頭から血を流した神父がこっちに向かって少しづつ這いずって来ているのだ。
だが、少し進んで体力が尽きたのだろう。止まってしまう。
しかし、除き穴の向こうに唯子を見るとニッコリと笑い、コクンと頷く。
そして神父の頭はガクリと崩れて、そのまま動かなくなってしまった。
「おねーちゃん?」
「みんな、逃げるわよ」
その神父が頷いた瞬間に、唯子は涙を振り切って後ろの子供たちに声をかけた。
その中は細長くなっており、数メートル進むと途中から洞窟となっている。
入るときに渡されたランプに火を灯し、内部を照らして進んでいく。
「おねーちゃん、先に!!」
「いいから進みなさい!!」
狙われているのが彼女だと知っているため、少年が唯子を先に勧める。
だがその時間も惜しいと言わんばかりに、唯子はいいから先に進むよう促した。
『おい!!こんなところに・・・・』
『この先だ!!追い込め!!』
『この方向なら崖の洞窟だな!!』
『先回りしてやる!』
後ろから、村人の声が聞こえてきた。
見つかったらしい。
狭い洞窟だけあって、反響してよく聞こえる。
「おね」
「シッ。黙って」
心配そうに声を発する少女に、唯子が人差し指で黙らせる。
向こうから聞こえるということは、こっちからも聞こえるということ。
むざむざ教えてやることもない。
だが
『おい!!明かりが見えるぞ!!』
『見つけた!!あいつだ!!』
『捕まえろ!!』
「くっ・・・・」
やはり子供と大人の足では、いずれ追いつかれてしまう。
狭い洞窟と言っても、子供の方が有利になるほどの小ささではないのだ。
「ねーちゃん、来たぞ!?」
「そうね・・・・口閉じてなさい」
「え?うわ!」
心配する子供たち。唯子はその三人を両脇と背中に抱えると、洞窟内を一気に走り出した。
狭い洞窟だ。すぐに熱気が籠り熱いはずなのに、噴き出すものは冷や汗だけ。
そうして村人たちの声と明かりが遠くになって行き、目の前に光が現れた。
「外だ!」
「舌噛むわよ!閉じてないさい!!」
出た先は、教会裏の丘の崖だ。
崖には切り出された足場があり、それが階段のように曲がりくねっている。
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