第五章 Over World
あなたはうまくいくかしら?
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「君か。あの時の相手の」
「ああ。約束を果たしに来たぜ」
のそりと、蹴り飛ばされたキュゥべえが立ち上がる。
あれだけ吹き飛んでまだ体が無事なのが、少し驚きだ。
だが蒔風は特に驚くこともなく、キュゥべえに視線を向けたまま指示を出す。
「暁美ほむら、だね?」
「えぇ・・・・」
「俺は蒔風舜、翼刀の仲間だ。あの電話の時に声だけなら聴いたかな?」
簡単に自己紹介を済ます蒔風。
遠くからはワルプルギスを打ち据える轟音と、一瞬だけ黒く煌めく砲撃が見える。
「自己紹介も済んだし・・・さて・・・じゃ、こいつはオレが何とかしようか」
「舜さん。でも、こいつは・・・・」
目の前のキュゥべえに向け、不敵な笑みを浮かべる蒔風。
だが、翼刀はやはり納得できないようだ。
それはそうだろう。
友人となった少女たちを、この獣一匹のせいで失ったのだから。
その翼刀に、蒔風はゆっくりと首を振って、優しい声で語りかけた。
「翼刀。お前はこの街に何をしに来た?」
「俺は・・・でも!!」
「ああ、許せないのはわかる。だがな、あの中にいる唯子は、誰を待っている?」
「それは・・・・」
「あの中から唯子が飛び出してきた瞬間、誰よりも目にしたい人間は、誰だ?」
「・・・・・」
「おいしい役、他の誰かにとられちまうぞ」
「・・・はい!!」
ダッ、と
翼刀がその場から駆け出す。
その後を追って映司も駆けだした。
だが
「映司さん、待ってくれ」
「え?」
蒔風が呼び止める。
それと一緒に、ほむらもヨロリと立ち上がって銃口をキュゥべえに向ける。
「わたし・・・も・・・!!」
魔力も尽きかけ、それでも必死に抗おうとするほむら。
そのほむらの銃口を、蒔風の腕が下げる。
「なにを・・・」
「君は君で、向かってもらう場所がある」
「そんな暇・・・・」
「鹿目まどかを救いたいんだろう?」
「ッ・・・・・・・・」
「すべては君次第だが・・・約束する。そこで君は運命を打ち破る、最大最後のチャンスを得る」
「・・・・わかったわ・・・」
「ん。じゃああっちだ」
承諾したほむらに優しく頷き、蒔風が静かに指を指す。
「あの方向にまっすぐ行くんだ。そこで彼女が君を待っている」
「彼女・・・?」
「ああ・・・彼女の力を借りれば、君はすべてを救えるだろう」
「・・・・・・(コクリ)」
蒔風の言葉に、黙って頷いて進んでいくほむら。
そうしてここには二人と一匹だけが残される。
「さあ―――始めようか、インキュベー
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