ウィザード・トーナメント編 前編
花園の彼女
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ったのは俺を心配そうに見つめる如月華澄だった。その次に俺が感じたのは後頭部の僅かな柔らかさと温かさ。どうやら俺は目が覚めるまで彼女に膝枕をしてもらっていたようだ。すごい体験をしたのにそれを覚えてないなんて俺は馬鹿だ。
「良かった。目が覚めたんですね。」
「あぁ、ずっと診てくれてたのか?」
「友人を道端に放っておくのは私としてはありえないことです。万死に値します!!」
(そ、そこまで熱くならなくても....。)
ここで俺は違和感のようなものを覚える。仮眠を取ったとはいえ、やけに体が楽になった。中学の頃も徹夜をすることは何度もあったため、その時の疲労感や仮眠でどれくらい回復できるかも何となく体が覚えていた。だが今回の回復は違う。まるで一晩しっかりと睡眠を取ったかのように体が軽く感じた。
「なぁ、俺はどのくらい気を失ってたんだ?」
「はい。私が見つけて目が覚めるまではだいたい5、6分くらいですね。見つけた時には既に倒れていたので正確な時間はというとわからないのですが。」
俺はここに来る前に時間を確認していたことを思い出して腕時計を見た。時刻は17時03分。まだ10分ちょっとくらいしか経過していない。短時間で深い睡眠につけたのだろうか。とにかくラッキーだ。
俺が起き上がろうと上半身を起こそうとした時、華澄が右手で俺の体を軽くだけ押さえてこれを制す。まだ動くなということなんだろう。だが、その理由はあまり理解できない。パートナー探しに夢中になっている今なら尚更ゆっくりしている暇はない。
「もう少しで疲労感は完治します。」
「ん?完治って、どういうことだ?」
俺が問い掛けると何やらオーラのようなものを纏った植物が視界に入る。普通の植物ではあり得ないような動きをするそれを見て、その原因を理解したのを察知したのか彼女は答える。
「悟ったような顔をしていますね。理解できたのかも知れませんが、この子たちは代償魔法によるものです。この子たちがまだ種子の状態だった時に私が代償魔法の媒体として使いました。」
「それで植物が動物のように動くのか。」
華澄の考えに感心していると、上半身に妙な重みを感じる。重いものを乗せられているという重さではなく、握り拳一つ分くらいの物が乗っているような感覚だ。視線を落とし上半身を見ると、お腹の上に"ブロッコリーのお化け"みたいなものが二本足で腕を組んでこっちを見ていた。顔のようなパーツがあり、その表情は笑っているのか怒っているのか正直、微妙で分からない。
「ナンダコイツハ?」
「え?あっ!ロッコちゃんです。」
「ロッコちゃん?」
あとで説明されたのだが、どうやら前に代償魔法の媒体として大きな
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