暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第99話 トーマとユーリ
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するが良い」

 口許が更に歪んだ。悦に浸っているのがよく判る。
 殺戮を好んでいる事が。

「グレート・ファイヤーボール」

 中心に輝く炎は軈てその光が消えた。いや 違う。……炎の色が闇色になったのだ。凝縮された暗黒の太陽とでも呼べる大火球。それの攻撃対象になっているのは目の前のユーリだけではない。後方に下がっているハンティやパットンさえも飲み込もうとしている。

 ユーリはそれを見て、姿勢を低く剣の柄を握りしめ、構えた。

「2人を頼むぞ! トーマぁぁッ!」

 ユーリのその叫びを訊き、パットンは痛みに苦しみながらも驚き、顔を上げた。

 そして、ハンティとパットンの前に 巨大な影を見た。

『ああ!』

 それは聞き覚えのある声だ。 
 幼き頃より何度も聞き、師事してきた男のもの。自分にとって絶対と言える男の声だったから。

 ハンティもパットン程ではないが少なからず驚きはあった。ユーリ相手に敗れたと言うのは事実だろう。そして その命を戦場で散らした者だとずっと思っていたのだから。

 そして次に驚いたのはユーリにだ。

 あのノスが放つ魔法は炎系の魔法の中では禁忌の部類に位置する物。例え魔法技能のレベルが3であったとしても取得する事は不可能だと呼ばれている暗黒の炎だったから。
 その炎にユーリは突っ込んでいってるのだ。

「ば、ばか……っ やめ、やめろ……!」

 瞬間移動でユーリを助けようとするが、身体に力が入らない。魔法を発動させる事が出来ない。

「案ずるな。ハンティ。……知っているであろう。友の力を信じよ」
 
 そこに、トーマの声が再び聞こえた。
 ハンティは その声を聴きつつ、ユーリの後ろ姿を目に焼き付けた。
 

「煉獄――」


「この強大な力を前に何が出来ると言うのだ? 人間風情が!」


 暗黒の炎へと突き進む人間を見て嘲笑うノス。
 如何に強力な戦士がいたとして、所詮は人間の域。アイゼルやサテラが戻ってきたのは 遊んでいたのだと思っていたのだ。サテラは自我が強く頭が悪い。アイゼルは 頭がキレる男ではあるものの、強い者には人間であっても一定以上の敬意を払う。ヘルマン側が屑であり、滓であれば 花を持たせる可能性は多いにあると言える。


 つまり――魔人に正面からぶつかり、打ち破る者など人間にいる筈がない。


 ノスは それに疑いは無かった。
 だからこそ――。 


「斬魔!」


 目の前の光景を理解するのに時間が掛かった。
 裂かれる暗黒。四散していく炎。ハンティやパットンの方にも残された炎が迫るが、それは、2人を守る様に立ちはだかる男が全てを請け負っていた為届かなかった。

 そして、それ以上に驚く
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