暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第99話 トーマとユーリ
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目的において、ヘルマンがどうなろうと知った事ではないのだが、サテラを、アイゼルを従えた布陣で ここリーザスにまで侵攻してくる事など夢にも思わなかったから。
 聖武具を奪う簡単な任務。だが それは悉く失敗に終わり 遂には運んでもらう事に変えた。

 何故、人間如きがここまで出来るのか。何故 魔人を退ける事が出来るのか。

 その疑問の答えは目の前にあった。

キサマ(・・・)だったのか。……まだ儂にも判らぬ所が多いが 遊んでいたとは言え サテラやアイゼルが不覚を取る可能性は十二分にあるな」

 ゴキリッ……とノスの拳が唸った。
 過剰に力の込められた拳は 血管が浮き上がり そして強く脈動して 一回り以上の大きさとなった。その力は内には留まらず、外にまで放出される。まるで陽炎の様に拳の周囲を揺らいでいた。

「ふむ。まだまだ泳がす予定であったが……、王女を助けにきたとなれば儂の計画に支障を来す可能性もあるやもしれぬ。……キサマはここで葬るとしよう」
泳がす(・・・)、か。ノス。お前の目的はカオスか。その封印をあえて解こうと言う訳か」

 ユーリ自身も、ノスの様に会話の中で自分自身の仮説を 正解の形へと導いていった。
 カオスとは 魔人に対抗する事が出来る武器とリーザスに伝えられている。
 ならば、その剣を放っておくのは危険だと言えるだろう。人間の歴史を紐解いていくと 魔人をも上回る力を備えた偉人と言う者は存在している。
 だが、力量は超えたとしても 魔人の特性を看破する事が出来ず 皆敗れ去っていったのだ。そう――無敵結界と言う理不尽な力。あらゆる攻撃を防ぐいわば最強の防具だ。

 もしも、それを看破出来るとすれば…… 敗れ去った彼らは魔人を討つ事が出来ただろう。歴史に「たら」「れば」は有り得ないが、それでも そう言える。

 それは他の誰でもない。……ユーリは魔人(・・)に、その話を訊いたのだから。
 
「ふ……くく。成る程。頭も切れる様だ。何処ぞの無能な皇子とは器が違うと言った所か」
「う、ぐぅ……く……っ」

 ハンティの傍で呻き声を上げるパットン。
 あまりの痛みで意識を失っても不思議ではない、いや 死んでもおかしくない状況だったのだが、パットンにははっきりと意識があり ノスの言葉がその耳に届いていた。あまりの情けなさ、自分自身へのの嫌悪さえ覚えていた。

「さて……、話は終わりだ。娘と無能な皇子を見事救って見せたキサマだが、……これならばどうだ?」

 ノスは両の手を頭上に広げた。
 そして小さく短く口許が動いたかと思えば次の瞬間、そのノスの両手の中心に光が生み出される。生み出された光は熱を帯び、軈ては燃え広がった。

「全てを飲み込む深淵の炎。……本物の炎をその身に受け、滅
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