暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第99話 トーマとユーリ
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


『ユーリ殿、お1人では危険すぎます! 今のあそこは本拠地も同然……。あの魔人が集っている可能性が』
『ユーリ。……また、1人で戦うなどと言うのではないだろうな?』

 動機は其々少しばかり違う様だが、つまりは2人も行く、と言う事だった。

『いや 1人ではない』
 
 ユーリはトーマを見た。その雄大な後ろ姿を 2人も同時に見た。

『それに あそこにいる者の中にはオレの顔馴染みもいる。そいつなら、説得できる可能性も高い。トーマと行けば説得力も増す。だから、全部終えたら一度戻ってくるよ。……多分、魔人もついてくる可能性が高いだろうな。その時は頼む』
『……志津香がまた怒るぞ。ユーリ、お前にな』
『それは重々覚悟の上さ。だが 適材適所だと判ってもらうほかない。魔人を外へ誘導するとなれば、後衛である魔法使いでは遥かに危険だ。……そんな役、やらせる訳ないだろ』

 仲間達と戦っているであろう志津香の姿を思い浮かべた。

 まず間違いなく、自分自身が先に城に突入する事に異議を唱えるだろう。なぜ1人で行くのか、と怒るだろう。だが、この部隊の中で最も高レベルであるのはユーリだ。そして アタッカーであり、持つ技能を併用させれば不得手は無いとも言える。え耐久性や機動性もバランスよく高い。
 何よりも 説得する相手。……ハンティを説得する為には ユーリ1人の方が動きやすいのだ。


 そして、ユーリが言う様に トーマ自身の存在もそうだ。現に戦っていたヘルマンの兵士達は トーマの姿とその言葉で全てが戦う事を止めたのだから。

 リック自身も清十郎の様に共に馳せ参じたい気持ちは強い。だが、護るべき民が今まさに危険にさらされているのも事実だった。これよりも自身の気持ちを優先させる訳には行かなかった。リーザスの赤将としても。

 
『………判りました。……武運を祈ります』

 
 清十郎も軽く笑った。
 戦わせろ、と常に言っている彼だが その願いは既に叶っていると言っていい。今の今までの戦闘は彼を満たしていたのだから。今 彼が強く想っているのは 『強敵と戦わせろ』ではなく『お前と共に戦わせろ』の方が限りなく近い。あの魔人のガーディアンと戦った時の様に。


『死闘の前の肩慣らしだと思っておく。……さっさと行って帰って来い』


 だからそう言ったのだ。
 そして それを確認したユーリは2人に軽く手を上げて会釈をした後に、トーマの横に立った。
 
『トーマ。ハンティは この城の中にいるんだろう?』
『……その通り。皇子を守る為に常に傍に仕えている』
『成る程な……。つまり、皇子を討とうとでもすれば、ハンティの方が暴走するかもしれんか。魔人と戦うより厄介かもしれないな。色んな意味で』

 軽く笑うユーリ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ