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俺の涼風 ぼくと涼風
4. 海に出たことのない艦娘(1)
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しないけれど。

「おいおい涼風も来てたのかよー」
「なんだよ摩耶姉ちゃん……あたいは今……んー……幸せなんだ」
「ねーすずかぜー? んー……」
「なーゆきおー? んー……」
「お前ら……顔そっくりすぎんぞ……」
「まったくだ……まさか俺の息子と涼風が、こんなに似た表情をするとは……」

 私たちの幸せな姿を見ながら苦笑いを浮かべる二人は、しばらくして部屋を後にした。どうやら提督に用事が出来たらしく、摩耶姉ちゃんは大淀さんに頼まれて、提督をこの部屋まで呼びに来たらしい。去り際の摩耶姉ちゃんが、

「ごゆっくりー……ニヒンっ」

 と酷くいやらしいニタニタ笑顔を私に向けながら、ドアを閉じていた。最後の『ニヒンっ』という、摩耶姉ちゃん特有の、ちょっと鼻から抜けるような含み笑いは、私の耳にもしっかりと届いていた。摩耶姉ちゃんが私に何を伝えたかったのかはわからないけれど。

 提督と摩耶姉ちゃんがいなくなったあともしばらくの間幸せを堪能した私とゆきおは、いつものようにベッドの上に腰掛け、今日も話をすることにする。豆大福を食べた後だし、本当はお茶でも飲めればいいんだけど、ここにお茶はないし、私も持ってきてない。だから残念だけど、今日は我慢することにした。

 ここ数日で、ゆきおとは本当にいろいろな話をした。

「ゆきおってさ。なんでこの鎮守府にきたんだ?」

 例えばこれ。14歳といえば、人間でいえばまだ学校に通ってる年齢だったはず。それなのに、ゆきおはここに引っ越して以来、一度も学校に行った様子がない。いつもここで本を読んでいるか、そうでなければ、食堂でご飯を食べてるかのどちらかだ。時々提督と外出することはあるけれど、それだって学校に通ってるとは思えない。

 私がゆきおにこの疑問をぶつけた時、ゆきおは一瞬ハッとした表情を浮かべ、そして突然、鋭い眼差しで周囲の様子をキョロキョロと見回し始めた。まるで索敵中の空母の人たちのような真剣さだ。

「……ッ」
「……? ゆきお?」
「……ッ!」
「……どうした?」

 ひとしきりキョロキョロと周囲の様子を確認したあと、ゆきおは至極真面目な表情で私をジッと見つめた。

「……涼風」
「ん?」
「本当は秘密なんだけど、涼風にだけは、本当のことを言うよ」
「本当の……こと?」

 ゆきおの額に、一筋の汗が滴る。その眼差しはとても真剣で、まっすぐに、私のことを射抜いていた。

「……ゴクリ」

 ゆきおの真剣味に呑まれ、私の額にも冷や汗が浮かぶ。緊張で胸が次第にドクンドクンと波打ち始め、私は息が次第に激しくなってきた。

「涼風……実は、ぼくは……」
「う、うん……」

 私のことを信頼し、意を決したゆきおの口が語ったこと。それは、私の頭を混
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