第十六話 あらためてその五
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先頭を進む智の顔を見てだ、笑顔で言ってきた。
「遂にですか」
「果たされましたか」
「ああ、無事にな」
智も笑顔で応えた。
「やってきたぜ」
「それは何よりです」
「それでは伯爵様の御前へ」
「我々が連絡しますので」
「これより」
「そうさせてもらうな、じゃあな」
智は彼等に笑顔で応えてだった、そのうえで。
衛兵のうちの一人が城内に入り暫くして戻るまで門で待った、そしてその門を潜ってだった。
中に入るとだ、城の庭では兵士達が鍛錬に励んでいた。倉庫も実に多くそうしたもの見てだった。
順一は頷いてだ、こう言った。
「智さんの言われた通りですね」
「そうだろ、いい感じだろ」
「備えを怠っていません」
「兵隊さん達は鍛錬をしていてな」
「倉庫もですね」
「ちゃんとしてるだろ」
「そうしてですね」
「ああ、本当に備えているんだよ」
危機に対してというのだ。
「街にも大勢兵隊さんがいるしな」
「そちらの守りもですね」
「領内全体でな」
「備えをしていますか」
「しかも田畑も町も整えていてな」
そうした方面にも気配りを欠かしていないというのだ。
「いい場所なんだよ、さっき久志に話した通りにな」
「それがわかります」
「こうした場所はな」
まさにというのだ。
「将来もいいな」
「内政は後で伸びますし」
「それもあってな」
「こうしたことをされる領主殿ばかりですと」
「いいんだけれどな」
智は少し残念な顔にもなった。
「それなら」
「そうですね」
「本当に悪政する奴いるからな」
そうした領主もまたいるというのだ。
「もう漫画みたいというか両班みたいなな」
「李氏朝鮮のですね」
「あそこまでいかなくてもな」
「似た様なタイプの領主もですね」
「いるからな」
「あそこまでは流石にですね」
李氏朝鮮の両班は極端な例だというのだ、実際にこの支配階級は相当に酷い腐敗状況でえあった。
「いきませんね」
「あそこまで酷いとな」
「流石にですね」
「こっちの世界でもないな」
「あそこまで腐敗しますと」
「すぐに攻められるよな」
「そして滅びます」
「自分の私利私欲ばかりで重税とかで搾取し放題で」
そして恣意的な刑罰や拷問まであればだ。
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