3. もう一度
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べたいのにー』とか『この私も、たまには男の子とも、仲良く……ッ!!』という声が方々から聞こえてきたけれど、当の摩耶姉ちゃんは、そんな声をまったく気にしてないようだった。
「涼風……涼風……」
「ん?」
「ニヒッ」
それどころか、さっきから妙に、私に対していやらしい笑顔を向けてきている。一体どうしたというのだろう。
やがて提督とゆきおが私たちのテーブルにやってきた。摩耶姉ちゃんが立ち上がり、私の隣の席へと移動する。すれ違いに雪緒が私の向かいの席に座り、提督がその隣に座っていた。
「涼風……いてくれてよかった。緊張したぁ〜……」
「よっ。さっきぶりだなゆきおっ!」
「なんだお前ら、もう会ってたのか」
「うん。僕が紙飛行機飛ばしてるとこを見られた」
「ゆきお、すっげー真剣な顔して飛ばしてたよなー。地面に突き刺さってたけど」
「……次は飛ばすんだッ」
「あたいも手伝うぜ」
すまし汁に口をつけながら、ゆきおは紙飛行機のリベンジを、必要以上にシリアスな表情で誓っていた。私もお味噌汁に口をつけ、ゆきおのリベンジに付き合う約束をする。ゆきおの紙飛行機リベンジ……なんだかとても楽しそうだ。
話を聞くと、ゆきおは挨拶の最中、私をずっと探していたらしい。確かに見ず知らずの私たち全員に注目されると、この上ない緊張に苛まれることだろう。少しでも見知った相手を見つけると、その緊張も少しはひくはずだ。それが私だということが、少しうれしかった。
「ところで雪緒ー、お前、歳いくつなんだよー?」
「14歳です」
「の割りには背がちっちぇえなぁお前ー」
「そ、そうですか?」
「食ってる飯の量も少ないし。そんなんだからでっかくなれねーんじゃねーの?」
すでにご飯を食べ終わったらしい摩耶姉ちゃんが、右手で湯呑みを持ったまま、たくわんをボリボリと言わせつつ、ニヤニヤしながらゆきおに絡んでいる。摩耶姉ちゃんは、ちょっと強引なところがある。ゆきおも大変だなぁと思いつつ、おかずの煮魚に箸を伸ばした時だった。
「ちょっとお前ら、並んでみ」
「へ?」
「あたいらが?」
ついに摩耶姉ちゃんは、私も巻き込み始めた。どうも摩耶姉ちゃんは、ゆきおの背の小ささが気になるようで、私と比べたいらしい。
「い、いやですよっ」
「いいからいいから〜……」
さては、晩ご飯を食べ終わって手持ち無沙汰になったな……? 摩耶姉ちゃんは立ち上がり、ゆきおの後ろに回り込むと……
「よいしょっとー」
「ほわ!? ちょ、ちょっと」
「ほそっこいなーお前」
ゆきおの両肩を支えて立ち上がらせる。『そのままー……そのままー』と言いながら、今度は私を立ち上がらせてゆきおの隣に誘導し、私とゆきおを並べて立たせた。
「
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