スラッガーと守備職人
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「は〜い!!ファミーユセンター特製ソフトクリームお待たせニコ!!」
バニラソフトクリームを小さな男の子たちに手渡す黒髪の小さな少女。少年たちはそれを受け取ると、お礼を言ってからそこから離れていく。
カキーンッ
そのすぐ近くから聞こえてくる金属音。ここは穂乃果たちが通う音ノ木坂学院からほどなくのところにあるバッティングセンター。先程ソフトクリームを渡していたのはそこでアルバイトとして働いている矢澤にこだった。
「矢澤さん、時間だから上がってもらって大丈夫だよ!!」
「は〜い!!」
ニッコリと天使のような笑顔で見せた彼女は、店内にいる数人の客に頭をペコリと下げた後、奥へと下がっていく。
彼女の可愛らしい容姿と愛らしい接客を目当てにこのバッティングセンターに通うものを少なくない。そんなアイドル的な存在の彼女はというと・・・
「はぁ・・・疲れた・・・」
化けの皮が剥がれたかのように、ロッカールームで大きなタメ息をついていた。
「今日もお仕事頑張ったニコ。早く帰って夕飯の準備しなきゃ」
言葉とは反対にゆっくりとした手つきで制服のボタンを外していき、音ノ木坂の制服に着替えていく。そして着替え終えた少女は、店長に一礼してから店を出ようとして、その足を止めた。
(あれ?あの制服って・・・)
足を止めた少女の視線の先にいるのは、彼女と同色のブレザーの制服に身を包んだ赤色の髪をした少女だった。彼女たちの制服で違う場所と言えば、胸元につけられたリボンの色くらいのもの。
(でも野球部ではない子よね?ストレス発散かな?)
そんなことを考えながら彼女を見つめていると、少女はバッティングボックスの中に入ると、バットを手に取り、このバッティングセンターで使われているカードを機械にいれ、打席へと入る。
(え!?あの格好でバッティングしたら見えちゃうんじゃ・・・)
良からぬ心配しているにこに気づくことなく、少女は真剣な眼差しでモニターを見つめる。そして放たれたボールを・・・
カキーンッ
鋭いスイングでそれを打ち抜いた。
(あ、スパッツを履いてたニコね。それなら大丈夫・・・って、問題はそこじゃないわよ!!)
最初に自身がしていた心配が杞憂に終わったことに安堵していたにこだったが、それ以上の衝撃的な光景に思わず見入る。
カキーンッカキーンッ
何度も何度も響き渡る快音に、その場にいた多くの人が目を奪われる。やがて規定の球数が終わると、少女は一度間を置くためにボックスから出ていく。
「何?あなた」
「ハッ!!」
そんな少女が出た先にいたのは、近くで見ようと引き寄せられた矢澤にこだった。
「に・・・にっこにっこに〜」
「はぁ?」
不思議なポーズ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ