ちいさな家
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考えます。
そうすると、どうしても家にできることは、自分に塗られたペンキを落として前のようなピンク色の壁に戻してあげることだけだと思ってしまうのです。
ある日。小さな家とちいさな女の子が住んでいる森に地震がきました。
がたがたと長い揺れは家を傷つけて去って行きました。
「まぁ!」
女の子が外に出ると、何と家は黒いペンキがすっかりはげてしまい、女の子の大好きだったピンク色の壁に戻っていました。
傷ついた体で家は思います。
よかった。これでもう一度、女の子の笑顔が見れる。と。
けれど、女の子は、その家を見た途端泣き崩れてしまったのです。
家は驚きました。どうしたの、泣かないでと声をかけて必死で慰めました。
「どうしたの。嬉しくないの?きみの好きなピンク色の壁だよ」
「ええ嬉しいわ家さん。わたしの好きなピンク色の壁が見れてうれしい」
「じゃあなぜ泣くんだい?嬉しいのなら、泣かないでおくれ」
「家さん家さん。わたしはとっても嬉しいの。でもね、その分だけとっても悲しいの。だって、家を黒くしなければいけないのは決まりなのよ。いくら悲しくても、つらくても、絶対にそうしなければいけないのよ。いま、ピンク色の壁が見れても、また、塗りなおさなければならないわ。塗りなおすたびに、わたしの好きなピンクが黒く変わっていくのを見るたびに、わたしはとてもとても悲しくなるの」
「じゃあ、もう、黒に塗らなければいい」
「それはできないわ。そういう決まりだからよ」
家にはやっぱり女の子の言ってることが分かりません。
好きなら好きで、こころのままに動けばいいのに、女の子は好きなだけではだめなこともあると首を振るのです。
「それに、そうやって黒いペンキを落とすたびに、家さんが傷つくわ」
「きみが笑ってくれると思って」
女の子は笑いました。とてもとても寂しそうな笑顔でした。それを見た家もとても悲しい気持ちになりました。
家は、ほんとうに、女の子に笑ってほしかっただけなのです。
次の日、女の子はまた、町で黒いペンキを買ってきました。
それを、ピンクの壁を惜しむかのようにまる一日かけて塗りました。
家は何も言いませんでした。
女の子の言っていることはよくわからないのですが、ピンク色の壁を見た女の子の寂しそうで、悲しそうな泣き顔をもう二度と見たくないと思ったからでした。
ピンクが見れてうれしいと言
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