2. きっかけは紙飛行機
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名姉ちゃんは第一艦隊だから、今日は出撃みたいだ。榛名姉ちゃんをチラと伺った。でもその途端、榛名姉ちゃんが私の視線に気付いたようで、すぐに私に振り返る。私は慌てて顔を背けた。
「あと、今日は報告がある! 夕方にでも顔合わせをするが、今日から新しい仲間が増えるぞ!」
さっき摩耶姉ちゃんが話してくれたことのようだ。反射的に摩耶姉ちゃんの顔を見た。
「ん? どしたー涼風?」
「な、なんでもないっ」
「そっか」
私と目が合うなり、摩耶姉ちゃんはニヒンと笑ってくれた。その後その笑顔のまま再び提督の方を見つめ、提督の話を聞くことに集中する摩耶姉ちゃん。私も摩耶姉ちゃんにならい、再度提督の話に耳を傾けることにした。
提督が言うには、その『新しい仲間』というのは、やはり新宿舎の三階に居を構えるらしい。海がよく見える宿舎の三階。さぞかしキレイな光景が広がってるんだろう。そんな光景を眺めて生活出来るのは、ちょっと羨ましいかもしれない。
「そんなわけで、今日もよろしく頼む!」
「はい!」
「じゃあ飯を食い終わったら、各艦隊は任務に従事してくれ!!」
「はい!!」
食堂に響き渡るみんなの元気な声が、私の耳にビリビリとプレッシャーをかけた。その後は喧騒を取り戻し、食堂内に賑やかさが戻る。私と摩耶姉ちゃんは、その中で、二人だけの食事を再開した。
食事が終わった後、私たちは遠征任務に出撃した。少し離れた海域にある補給基地から燃料と弾薬を受け取り、それを鎮守府へと運ぶ任務で、深海棲艦に遭遇することのない、なんてことない任務。本当なら練度の低い子が担当するべき任務なのだが、今の私は戦うことが出来ない。そんな私には、こんななんてことのない、遠征任務しか出来ることがなかった。
私と摩耶姉ちゃんに、旗艦の天龍さん、そして駆逐艦の雷電コンビと、私の姉の……五月雨と共に、遠征任務を無事に完遂し、私はそのまま入渠施設で疲れを癒やす。いつもの遠征任務に比べ、遠い補給基地に遠征したためか、私たちが戻った時には、すでにお昼過ぎとなっていた。
お風呂でひと心地付いた後、私はタオルを首にかけ、せしめたラムネを片手に桜の木の下のベンチに腰掛けた。海からの潮風の冷たさが、入浴で火照った身体に心地いい。涼しく気持ちのいい風が、私の身体を冷やしてくれる。ラムネを飲みながら、海を眺めた。朝の時とはちょっと違って、幾分白色に近いお日様の光が眩しい。
一際強い風が吹き、さくらの木の葉っぱが、サラサラと音を立てて揺れた。振り返り、桜の木を見上げる。季節は秋の中盤にさしかかる。桜の木の葉っぱは、すでに茶色になっていた。
私と桜の木のそばには、新宿舎がそびえ立っていた。真新しい外壁はキレイな白で、それが、まだ建てられて間もない事を物語っ
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