2. きっかけは紙飛行機
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脱ぎ捨てて、改白露型の制服を身に纏った。手袋をつけハイソックスを履き、身支度を整え、姿見の前に立つ。自分の顔を見ると、目の下にうっすらとクマが見えた。どおりで摩耶姉ちゃんが心配するわけだ……。
なんとかクマを隠したいと思ったけれど、お化粧なんてしたことないし、道具だって持ってない。摩耶姉ちゃんに相談しようか……でもこの前、『あたしだって……!!』とか言って、口紅が大変なことになってたっけ。
「おーい涼風ー?」
摩耶姉ちゃんのお化粧事情を考えていたら、ドアの外で待っている摩耶姉ちゃんの呼びかけが聞こえた。体中がビクッと反応し、ついつい大げさな返事を上げてしまう。
「な、なに!?」
「まだかー? あたし、腹がぺこぺこなんだよー」
「い、いまいくー!!」
仕方ない……クマを隠すのは諦めよう。私はそのまま摩耶姉ちゃんの元へと急いで向かう。ドアを開くと、摩耶姉ちゃんが壁にもたれて待っていた。ドアにカギをかけ、摩耶姉ちゃんと共に食堂に向かう。
「そーいや涼風ー。知ってっか?」
「んー? なにー?」
すれ違う仲間のみんなと挨拶をしながら、摩耶姉ちゃんが話を続ける。この鎮守府には、私たちが生活するこの宿舎の他に、もうひとつ三階建ての宿舎がある。最近建築されたその新しい宿舎は、入渠施設のそばに位置していて、海の景色がよく見えるそうだ。
「その宿舎にさ。今日から新しいヤツが来るんだってよ?」
「へー……あたいたちみたいな艦娘なのかな? 誰だろう?」
「わかんないけど……朝礼で提督から何か話があるんじゃないか?」
「ちなみに摩耶姉ちゃんはその話、誰から聞いたんだ?」
「青葉。なんか鼻息荒くして『恐縮ですっ』て言いながら話してくれた」
容易に想像出来る、興奮した青葉さんの姿を思い浮かべながら、食堂への順路を歩く。次第にお味噌汁の香りが私の鼻をくすぐりはじめた。私のおなかが刺激され、『ぐぅ〜』と情けない悲鳴を上げた。摩耶姉ちゃんに聞かれたのかと思い、慌てて摩耶姉ちゃんの顔を見たが……よかった。気付いてないようで、素知らぬ顔で前を向いている。
そんなとりとめのない話をしながら、二人でてくてくと廊下を歩く。次第に食堂との距離が近付き、それに合わせてガヤガヤと、仲間のみんなの喧騒が聞こえてきた。すでに他のみんなは朝ごはんを食べ始めているようだ。私と摩耶姉ちゃんは食堂に入った。
「よー。おはよー」
「おはようだクマー」
「おはようございます」
何人かが私たちに挨拶しつつ、手に持つお盆の上の朝食を、自分たちのテーブルに運んでいた。私と摩耶姉ちゃんは、鳳翔さんから美味しそうな朝食を受け取り、そのお盆を持って、窓際にあるテーブルに移動する。
「……」
フと足が止まる。私たちの目の前
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