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俺の涼風 ぼくと涼風
1. 『俺だけの涼風』
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立たせ、拳を握りしめ、私は必死に『イヤだ』と叫んだ。これ以上、誰かが自分をかばって沈むのは嫌だ。これ以上、誰にも死んで欲しくない。私はノムラに対し、必死に懇願した。

『そうかイヤかぁ……』

 私の懇願を聞いたノムラは、しかしまったくそれを意に介さず、むしろさらにその顔をひどく歪ませ、気味の悪い満面の笑みを浮かべながら、私を見つめた。

『なら……また行こうなぁ涼風ぇえ……』
『イヤだ……』
『安心しろォ涼風……お前は沈まないからなぁ……俺の……俺だけの、涼風ぇええエエエ……』
『ヒッ……!?』
『いっぱい連れて行こうなぁ……みんなに、いっぱい、守ってもらおうなぁ……』

 一番聞きたくない言葉『守る』という言葉を、私に何度も吐き出すノムラの笑顔は、とても醜く歪んでいた。そして、そのノムラが吐き出す『守る』という言葉が、私の耳にべたりとへばりつく。頭の中で、仲間の断末魔と共に、何度も何度も残響した。

『涼風ぇ……愛してるぞ……涼風ぇぇぇえええ』
『いやだぁぁああああああああ!!?』

……

…………

………………

 誰かに力ずくで無理矢理に瞼をこじ開けられたような感覚を覚え、私は目を覚まし、飛び起きた。

「ハァ……ハァッ……」

 右手がガクガクと震えている。それを必死に左手で押さえ、震えが収まったところで、額に触れた。今はもう10月。過ごしやすく、心地よい気温の夜のはずなのに、私はびっしょりと汗をかいていた。

 なんとなく夢がまだ続いてるような恐怖感が心を支配し、慌てて私は周囲を見回す。常夜灯のおかげで、ほのかに明るいここは自分の部屋。海の上でなければ、真っ赤な大空も広がっていない。周囲に、今は亡き仲間の艤装も散らばってなければ、視線の先に、あの忌まわしいノムラの歪んた笑顔もない。

「……ちくしょう……」

 ここが自分の部屋だという確信を持った途端、涙が流れそうになるほどの安堵が私の身体を包み込んだ。身体の震えが徐々に収まり、豆球に照らされた周囲の様子がくっきりと見えてくる。

「寝なきゃ……あたいも明日は遠征任務があるのに……」

 やっと落ち着きを取り戻し、心に平静が戻ってきた。再び布団に潜り込み、目を閉じて睡眠を取ることにする。心地よい眠気が私の全身を包み込み始め、意識が夢の世界に入り込もうとした、その次の瞬間。

『……涼風ちゃん』

 閉じたはずの瞼に浮かび上がる、かつて私をかばって沈んでいった、仲間たちの笑顔。姉妹もいた。先輩もいた。でも、彼女たちは皆、私をかばい、私の盾となって、沈んでいった。

「ヒッ……!?」

 再び目が無理矢理に開かれた。閉じた瞼の奥に刻まれてしまった、仲間たちの最期の笑顔は、落ち着きつつあった私の心に、再び懺悔
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