第五章
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言ったのである。
「あんた剥製は知ってるかね」
「はい、知っています」
「腐らないんだよ。ずっとそのままでいるんだよ」
こう宮里に言うのである。
「だからだよ。それでなんだよ」
「切り取った指をそうされていたのですか」
「それで飾ってたんだよ。女房の指程じゃないけれどな」
「お部屋の中にですか」
「ああ。女房の指は奇麗だった」
老人はまたこう言った。
「それでだよ。それには及ばないまでも」
「指を飾られて」
「いい指だったよ。本当に」
老人は妻の指を懐かしんでいた。明らかに。
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