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第四章
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で密室に入ることが多くなった。
 その密室の中で取り調べの結果判明した犯人の身元について本郷が二人に言った。
「ホシは伊藤照道、六十五歳ですね」
「酒問屋の主ですね」
「ええ、そう書いてますね」
 身元調査にはだとだ。本郷は宮里に答えた。
「相当な金持ちでしかも」
「市会議員でもあります」
「市の名士ってやつですね」
「はい。ただ家族はありません」
 宮里もその身元調査を見ながら言う。
「子供は生まれず奥さんも五年前に他界しています」
「店も番頭さんが経営して引き継ぐことになっていて」
「男やもめでした」
「孤独ってことですね」
 日本によくいる孤独な老人、それだというのだ。
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