ペルソナ3
1782話
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「……何よ、だから言ったじゃない。別に私は超能力者でも何でもないって」
ゆかりが不機嫌そうに言いながら、塔の通路を進んでいく。
女の勘で選んだ道の先にあったのが、宝箱……それも500円硬貨が1枚というのが、かなりゆかりのプライドを傷つけてしまったらしい。
「別にその辺りは気にしてないって言っただろ? 取りあえず向こうの道には何もなかったんだというのが分かっただけで、十分だって」
「……そういう事にしておいてあげるわ」
俺の言葉に多少は気分を直したのか、取りあえずそう言ってくる。
うん、まぁ、多少なりとも機嫌が良くなったようで何よりだ。
「っと、話すよりも前に敵だ。……見えるか?」
俺の視線の先、右に曲がっている通路から、敵が姿を現す。
……ただし……
「新しい奴だな。……妙に愉快な影だが」
「そ、そうね」
俺の言葉に、ゆかりは微妙な表情で納得する。
何せ、新しく姿を現したのは、何と言えばいいのか……手? うん、手首から先の掌が身体の代わりになっており、手首の位置には仮面が乗っているような、奇妙な姿だったからだ。
今まで遭遇した影は、スライムもどきが2種類に王冠を被ってる奴。
それらと比べても、余計に妙な姿をした影だった。
幸いにもと言うべきか、まだかなり遠くにいるので向こうはこっちに気が付いていない。
これまでの戦闘で分かった事だが、影は目が悪いのか何なのか、ある程度近くまで移動しないとこっちに気が付く様子はなかった。
「どうするの? アクセルが戦う? それとも、やっぱり私が?」
「どうだろうな。初めての敵だし、俺が戦ってみるか。……ちょっとここで待っててくれ。一応何かあったらすぐに援護出来るように弓の準備は頼む」
ゆかりにそう告げ、ゲイ・ボルグを手にして掌の影に向かって歩き出す。
今まで戦ってきた影は、どれもこれもかなり弱い奴だった。
この塔がこの世界の原作に関わっているのであれば、恐らく上の階層になるに従って敵が強くなっていく筈だ。
RPGとかでも何故か勇者が最初にいる場所のモンスターはスライムとかの弱い奴で、魔王だったり四天王だったりする奴と実際に戦うような事にはならない的な感じの。
ともあれ、そんな感じで向こうが弱い敵しか出てこないのは、ゆかりという戦闘の素人がいる俺にとっては好都合でもある。
……ただ、RPGの中には最初の場所でゲーム後半にしか出てこない敵がいるようなのもあるから、それを確認する為に俺がこうして戦うのだが。
「さて」
ゲイ・ボルグを手に近づいてくる俺にようやく気が付いたのだろう。
影は、一瞬警戒するようにこちらに視線を向け……次の瞬間には、こちらとの間合いを一気につめてくる。
「へぇ」
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