巻ノ九十八 果心居士その十四
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「よりよい」
「左様ですな、では」
「そうしたことを頭に入れたうえで」
「備えていってもらいたい」
「さすれば」
「拙者もか」
幸村も言うのだった、今は槍に炎を宿らせつつ。
「火だけでなく」
「はい、他の五行もです」
「水、土、金、木とな」
「使われるとよいです」
「そうじゃな、志を果たす為には」
幸村は術を使いつつ確かな顔になった。
「そうした術もよりよく覚えていこう」
「困難は大きいですな」
「間違いなく」
幕府、そして家康とは言わなかった。ただこう答えただけだ。
「それはな」
「ではです」
「その困難に向かう為にもか」
「こうした術も備えられて下さい」
こう言うのだった。
「是非共」
「わかった、では拙者も備える」
仙術にある五行の術をというのだ。
「そうする、十蔵程ではないにしてもな」
「そうさせて頂きます」
「それではな」
こうしてだ、幸村もまた仙術の中の五行の術を身に着けていった。そうしてさらに強くなるのだった。その修行は相当なものだった。
これまでの天下の豪傑達に教わった時と同じく生きるか死ぬかだった、そうした修行だった。しかしその修行の中出だ。
筧は確かに強くなっていき幸村も学んでいっていた、筧は火、土、金の術を同時に出してみせた。その彼に果心居士はさらに言った。
「よい、しかしな」
「まだですか」
「使うのは五行、しかしな」
「それでも足りぬと」
「八卦を心掛けよ」
「八卦ですか」
「そうじゃ、そなたはまだそれが足りぬ」
八卦を心掛けることがというのだ。
「五行は出来ていてもですな」
「五行に加えてですな」
「そうじゃ、五行と八卦は重なっておるが」
「それぞれを合わせてですな」
「考えて術を出していくと尚よい」
「そういえばです」
今度は木と水の術を使いつつだ、筧は果心居士に答えた。
「ここに八卦の風もよく加えれば」
「尚よいな」
「はい、確かに」
「だからじゃ」
「ここは、ですか」
「八卦もじゃ」
それもというのだ。
「考えて出していくのじゃ」
「ですな、そうあるべきですな」
「ではよいな」
「はい、こうして」
水を氷にしてそれから風を入れて乱れ飛ばせる、筧はそうしつつ述べた。
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