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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
600部分:第四十六話 馬岱、乳を羨むのことその十四

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第四十六話 馬岱、乳を羨むのことその十四

「それもちゃんと」
「麗羽姉様はじゃと」
「はい、今度幽州の牧にもなられますし」
「うう、それならじゃ」
 それを聞くとだった。袁術の顔が変わった。うんざりとしたものから引き締まったものになった。そのうえでこう言うのであった。
「姉様には負けられないのじゃ」
「そうですよね。袁家の嫡流として」
「はい、麗羽様は嫡流ではないですから」
「嫡流はわらわなのじゃ」
 このことを強く言う袁術だった。
「年少だからといって侮られては困るのじゃ」
「じゃあわかりますね」
「うむ、わかったのじゃ」
 その真面目な顔での言葉だった。
「姉様に負けてはいられないのじゃ」
「それとですね」
「何じゃ、今度は」
「人が来ていますよ」
 今度言うのはこのことだった。
「また。あちらからの方です」
「ほう、またなのじゃな」
「はい、来ていますけれど」
「ならばじゃ。これを終わらせてじゃ」
 袁術のその手が速くなった。筆を動かしだしている。
「その者に会おうぞ」
「ええ。それじゃあ」
「姉様や曹操のところには随分と人材が来ておるそうじゃな」
 袁術はここでこのことも話した。
「そうじゃな」
「はい、かなりの人達が来ていますね」
「それが腹が立つのじゃ」
 今度はむっとした顔になる袁術だった。
「全く以てじゃ」
「まあ今は落ち着かれて」
「仕事をしてじゃな」
「会うぞ」
「そしてその後は」
「蜂蜜水じゃ」
 これも忘れていないのだった。
「よいな、七乃」
「はい。ただし一杯だけですよ」
「ううむ、二杯は飲みたいのじゃ」
「虫歯になりますけれどいいですか?」
「何っ、虫歯とな」
「それでもいいのならいいですけれど」
 にこりとして怖いことを話す張勲だった。
「それでもいいというのなら」
「わ、わかったのじゃ」
 袁術は虫歯と聞くとすぐに青い顔になった。そのうえで答えるのだった。
「それでは一杯だけにしておくのじゃ」
「はい、わかりました」
「虫歯は嫌なのじゃ。あんな痛いものは二度と御免なのじゃ」
「ですから。蜂蜜水はです」
「一杯だけじゃな」
「はい、そういうことで」
 これは譲らないのであった。
「それとですけれど」
「今度は何じゃ?」
「何か曹操さんのところで凄い歌手が加わったとか」
「歌手じゃと」
「何か胸が凄く小さい」
 このことも忘れない張勲だった。
「そうした歌手だとか」
「ふむ。胸が小さいのか」
「はい、自分でもそれを気にしているとか」
「そんなものはどうでもいいではないか」
 袁術は何気に自分の胸も見て言うのだった。

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