第六話 幽霊の父
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眼を開けてみたら真っ白い壁があった。良く見てみると天井だ。
寝ぼけ眼で眺めていたせいかまどろみがやってくる。誘惑に負け、再び眼を閉じようとするが、すぐに色々な情報を思い出し意識が覚醒する。
「敵は!?」
起き上がってみると、真っ白なベッドの上にいたことに気づく。
周りを見回してみると、自分の記憶に一つだけ該当する場所があった。
「伊豆基地の医務室……」
次の瞬間、医務室の扉が開かれる。
入ってきた人物を見て、ライカは居住まいを正した。
「起きたんだな中尉」
「……大尉」
あの作戦の指揮をしていたクロードがお見舞いの果物カゴ片手に近づいてくる。
「大尉、作戦はどうなりましたか?」
「成功も成功、大成功だ。お前があの二機を抑えてくれていたお蔭で楽に制圧できた」
本当はあの二機に見て見ぬふりをされていただけなのだが。わざわざ訂正をするような事項でもなかったので、ライカは黙って次の質問をした。
「……私はどのくらい寝ていましたか?」
「作戦終了からそうだな……今丁度、一日経った」
腕時計を見ながら言うクロードを尻目に、ライカは片手で顔を抑えていた。
(何が原因かなんて……考えるまでもありませんよね)
意識を失くす寸前に聞こえたあの“泣き声”。『CeAFoS』がライカ自身へ大きな負担となっていた。これは最早疑いようがない。
「感謝しているよ。中尉がいなければ作戦成功はせず、あの黒いデカブツに全員喰われていただろうよ」
「そんなことはありません。大尉ならば対処できていました」
「まさか。現に中尉をこんな目に遭わせた」
クロードの表情が暗い。自分が対処するべきだったのに、任せてしまった。そんな後ろめたさが感じられた。
「信頼していただけた結果です。喜びはすれ、怒る道理はありませんよ」
「そう……か。そう言ってもらえると助かるよ」
ノックの音が聞こえた。それを聴いたライカは誰が来るか、不覚にも予想が付いてしまった。出来れば外れていて欲しいレベルで。
「ハローライカ。お目覚め?」
まあそんな訳は無く。つい顔に出してしまう所だった。
メイシールの姿を確認したクロードが気を利かせて席を立つ。
「じゃあ俺は行くわ。また組めることを祈っているぜ」
「……はい」
クロードの姿が消えた頃に、メイシールは口を開いた。
「どうやら上手くやれたようじゃない。だけど災難だったわね。『特機』紛いとエースっぽい機体に襲われるなんて」
死にかけたあの状況を“災難”の一言で片づけられる当たり流石と言ったところ。今更指摘するのも面倒なので聞き流していると、メイシールが本題を切り出す。
「『CeAFoS』が発動したよう
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