第六話 幽霊の父
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で言うなら……あまりにも合理的な部隊でした」
カイの計らいで近くのデスクに座ったライカはアルファ・セイバーの事を振り返る。
「隊員が皆おかしな仮面を被っていて、言葉も碌に喋らず、だけど連携は完璧で……。まるで機械か何かのようでした」
「マシンナリーチルドレン、か」
「マシンナリーチルドレン?」
ラミアの呟きをラトゥーニが補足する。
「……アラドの肉体遺伝子から生まれた人造人間」
「……そう、ですか。納得いきました全て」
「ライカ中尉は知らなかったんスか?」
「私はアルファ・セイバーの……ラトゥーニ少尉の言うマシンナリーチルドレンではなく、普通の人間たちで構成された小隊長をしていました」
「エグレッタから指示をされたのか?」
「はい。……彼は兵士としては完璧でしたが指揮官としては無能でした。……いえ、そもそも私たちの事などどうでも良かったのかもしれませんね」
連携は完璧だった、そうしなければ次に狙われるのは自分だから。味方を切り捨てるのは早い、そうしなければ敵を撃墜できるチャンスを逃すかもしれなかったから。
あそこでは全て己の保身のために動かなければならなかった。
「――あそこでは人間らしさなんて、邪魔なだけでした」
珍しく話し過ぎた。そう後悔したライカは持ってきたコーヒーを一気に飲み干す。
「おい……あれ」
「ああ、だよな」
「……ちっ」
遠巻きにこちらを見ていた三人組の男たち。その視線はどう見ても、好意的なものではない。
「……嫌な感じ」
「あっちを向いたら駄目よラト」
「ええ。ラトゥーニ少尉やゼオラ曹長が気にする必要はありません。あれは……私に用があるみたいですから」
ライカは立ち上がり、心配するアラド達を手で制し、三人組の元へ歩いていく。あの三人組は先の基地制圧作戦のブリーフィングで見た覚えがあった。出会い頭に陰口を叩いてきたのでとても良く記憶に残っている。
「私に何か用ですか?」
「元『ガイアセイバーズ』の裏切り者があの程度の功績を残したからって調子に乗ってんじゃねえぞ」
「お前らのせいで地球はどれだけ混乱したか……!」
その言葉を聞いた途端、アラドが激昂し、机を叩き立ち上がった。
「ふざけんじゃねえ! ライカ中尉は――」
「アラド曹長。……待ってください」
優しい子だ、とライカは思う。
ただでさえアラド達もその年齢で周りから良く思われていないというのにも関わらず自分のために怒ってくれたことが、何より嬉しかった。
「お三方、提案があります」
「何だと?」
――だから、そんな過去に“遠慮”するのはもう飽き飽きだ。
「模擬戦をしましょう。私と貴方達の一対三で。私が勝ったらもう二度と、下らない
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