第六話 幽霊の父
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
あるか? そうだな……例えば、『グランド・クリスマス』で」
その単語に真っ先に反応したのがラミアだった。
「先ほどまでの動き、私も戦闘データで見た覚えがある」
「そう……ですか」
やはり気づくものなのだな。だとすれば、名残惜しいがこの夢のような一時は終わりだ。
しかし自分から吹っ掛けたこと。責任を取らなくてはならない。
そう思いながら、ライカは自分の“元”所属を名乗る。
「私は……『ガイアセイバーズ』のアルファ・セイバーでした。あの時、少佐のゲシュペンストとやり合ったガーリオンは、私です」
そう言うライカの視線は、もうどこにも向けることが出来なかった。罪悪感と後ろめたさが己を支配していたから。
ライカの言葉にカイは得心いったかのように頷く。
「……そうか。道理で見覚えがある動きだった。あえて、だな?」
「はい……。何と言えば良いのか……」
『裏切り者』、『連邦の敵』……幾多の言葉が予想された。
――しかし、その続きを紡いだのは意外にもアラドだった。
「俺は……何も言わなくていいと思うッスよ」
「え……?」
ライカが聞き返すと、アラドは頭の後ろで手を組んだ。
「俺やゼオラは元々『ノイエDC』でした。だけどカイ少佐や『鋼龍戦隊』の皆はそんなこと、気にしないで迎えてくれました。だから……」
「あ、あのライカ中尉。私もそう思います!」
「ゼオラ曹長……」
「カイ少佐や私たちはそんなこと、気にしませんよ」
「……そういうことだ」
カイが二人の前に出て、ライカの肩を叩く。
「そこにいるラミアも元々は敵のスパイだった。だが、今はこうして戦技を教導している。……この意味が分かるな?」
「……はい」
「つまらん遠慮は捨てろ。経緯はどうあれお前は今、俺達と同じ方向を向いて戦っているんだからな」
――思ったより、簡単なことだったのかもしれない。
彼らの境遇は自分と似たようなもので、それが早いか遅いかの違いで。自分は見誤っていたのかもしれない。
(数々の戦いを潜り抜けてきた人たちがこんな小さなこと……気にする方がおかしかった、か)
眼を瞑り、『ガイアセイバーズ』時代を思い出す。自身の願いはまだ叶っていない。
未だに己を取り巻く環境が道を遮る草として生い茂ってはいる。……だが。
(……少しだけ、『ガイアセイバーズ』時代の自分と向き合えるようになれたかもしれません)
「ほう。顔つきが変わったな」
「……はい。『ガイアセイバーズ』時代の経験は決して無駄ではなかったようです」
「……アルファ・セイバーに所属していたんですよね?」
ラトゥーニの言葉にライカは頷く。あの部隊の事は忘れようにも忘れられない。
「はい。一言
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ