第六話 幽霊の父
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ゃ相手にならないだろう。
やはり、と言えばいいのか。彼女の戦闘スタイルは高機動射撃戦にあるらしい。常に動き回り、全く的を絞らせない動きをしている中での正確な射撃だ。よほど慣れているとしか……適性があるとしか言えない。
さっきから全くロックオン表示がされないのは、機体のスペックか彼女の技量か。バースト・レールガンを無駄撃ちしないよう、丁寧にゼオラ機へ放ち、距離を詰めていく。
……きっと彼女は素直な性格なのだろう。狡猾さが全く感じられない。
武装パネルを開き、ライカは機体シークエンスをソニック・ブレイカーへと移行する。メインスラスターの推力が上昇し、機体前面にはエネルギーフィールドが展開された。
ライカは一瞬だけカイに目をやる。
本来ならこんな余計なことをせずに、模擬戦に集中しなければならないのだが、少しばかりの不安が彼女に沸いていた。
(……気づく……でしょうか)
回り込むような位置取りで射撃を続けるが、こちらの“盾”でそれは弾かれる。そして、ライカはシュルフツェンに乗っていなければ絶対やらないような方法で、鋭角な方向転換を行った。
「嘘! そんなに急激な……!」
テスラ・ドライブが故障しても稼働する肩部熱核ジェットエンジンと尾?部のベクタード・スラスターの推力をどちらも最大推力まで上げ、本来ならば曲がることなんて不可能な方向転換を行い、ゼオラ機を真正面に捉えた。
こちらのエネルギーフィールドを貫くのは不可能だと判断したのだろう。無抵抗に離れようとするゼオラ機。
――その隙を突く。
すぐさまエネルギーフィールドを解除したライカは左操縦桿を引いた。
「む……!?」
ライカの動きをトレースするようにガーリオンは左腕を引き、そのままゼオラ機へ振り抜いた。ガーリオンのマニュピレータは見事にヒュッケバインのゴーグル部へ減り込み、見ただけで“破壊”できたと分かるほど黒煙を上げさせることに成功した。
もう一発、そう思い右操縦桿を引いたは良い物の、なぜか反応してくれない。
「……なるほど」
ゼオラ機のG・レールガンの銃口が煙を上げていた。どうやら上手い具合に右腕関節部へ当てていたらしい。
あとは互いにバルカン砲とマシンキャノンによる、やるかやられるかの不毛な消耗戦。それを見越したカイはここで模擬戦終了を宣言した。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました。何というかその……中尉のイメージとは掛け離れた戦い方だったので反応が遅れてしまいました」
「常に“有り得ない”状況を考えておく。……大事なことです」
「中尉」
カイが暗い表情でこちらに歩いてきた。
アラド達もカイの只事ではない空気に、ただ見ているだけ。
「中尉。もしや、俺と会ったことが
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