第六話 幽霊の父
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わぁぁ!!」
どうやら決着が着いたようだ。
アラドがヘルメットを脱ぎ、シミュレーターから降りると、すぐさま少女の所へ歩いて行った。
「とほほ……。これで俺の五戦零勝五敗か……」
「ううん……。これでアラドの七戦零勝七敗……」
「げぇ〜……」
「あれほど接近戦ばかりに固執するな、と言ったはずだぞアラド……?」
「げぇっ!? カイ少佐!? いつの間に!?」
カイの姿を確認した直後、顔が真っ青になる少年。集中しすぎて気づいていなかったのだろう。
少女の方は余裕があったみたいで、一瞬だけこちらに視線を向けていたというのに。
「……どうやら訓練メニューを増やしてほしいようだな」
「い、いや〜……それは是非ともご勘弁を……」
「駄目よ! さっきから見てたけど、何なのよアレ!? もう一回カイ少佐とラミア少尉に鍛え直してもらいなさい!」
「いぃっ!? 余計なこと言うなよゼオラ!」
すぐ側でモニターしていた銀髪の少女が少年に詰め寄った。
(……)
何と言うか、一部分が物凄く自己主張している少女だった。Gの影響を考えれば無い方が良いのだ。――無い方が、良いのだ。
「カイ少佐、そちらは?」
『ゼオラ』と呼ばれた少女の隣に立っていた銀髪の女性がこちらに視線を送っていた。……これまた一部分の自己主張が激しい人だ。あぁ、激しい人だ。……などと卑屈になっている場合じゃなかった。
少年と少女二人、そして女性に見守れている中、私は居住まいを正す。
「先日、この伊豆基地に配属されましたライカ・ミヤシロ中尉であります。以後、よろしくお願いします」
「ゼオラ・シュバイツァー曹長であります! ……ほら、アラドも」
「え〜っと、アラド・バランガ曹長であります」
「なんでそんなやる気なさそうなのよ! 中尉に失礼でしょ!?」
「相変わらずうるせえなゼオラは……」
「何ですって!」
「そこまでだお前ら。ほら、次はラミアとラトゥーニだ」
すると、残りの二人はまるで絵に描いたように正確な角度で敬礼をしてきた。
「ラトゥーニ・スゥボータ少尉です」
「ラミア・ラヴレスだ」
(……ラトゥーニ?)
ライカは彼女の名前に聞き覚えがあった。しかも顔も見たことがない訳ではない感覚だ。
必死に記憶を探ってみると……案外あっさり答えに辿りつけた。
「もしかして“あの”ラトゥーニ・スゥボータですか? 軍の広報誌では良く貴方の写真を拝見させていただきました」
「そ、それは……」
「お、ラト有名人だな」
「あの恰好じゃ、そりゃあ目に付くわよね……」
ゼオラの苦笑を見る限り、ラトゥーニにとってあまりいい出来事ではなかったらしい。……可愛いのに。
「おほん。噂に聞いているかもし
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