第六話 幽霊の父
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弾丸をばら撒いた。
「何だと!?」
弾丸は子弾へ次々と当たり、爆発……やがては他へ誘爆を引き起こす。即席のスモークである。ライカと三機の間に今、目隠しが形成された。
煙幕の向こうから弾丸が飛び出てくるが、照準が合っていない弾丸なぞまるで怖くない。恐れることなく煙幕の中へ突入し、あらかじめ目を付けていたチャーリー2機へ躍り出た。敵の携行武装はまだライフル。
(持ち替えるのが遅いですね)
近接兵装に切り替えていなかった時点で終わっている。右手のアサルトマシンガンで左右に展開していた二機を追い払いつつ、真正面の敵機と一対一の状況に持ち込んだライカ。
左手のマシンガンから吐き出された弾丸は正確に頭部を捉え、右手のアサルトマシンガンは四肢を万遍なく破壊する。
(まず一機)
「おらぁ!」
「っ!」
チャーリー1のチャクラムシューターが右腕に巻き付いていた。ワイヤーを切ろうとしたが時すでに遅し。右腕部が良いように切り刻まれてしまっていた。
(損傷率……六十パーセント。なんとか動く、だけど)
アラート。
チャーリー3がレクタングル・ランチャーでこちらに狙いを付けていた。マズイ、と本能が警告した。
あの火力はもらえない。スプリット・ミサイルでの煙幕はもう使えない。――ならば、手は一つ。
ライカは操縦桿を動かし、チャーリー1へと機体を推進させる。と見せかけ、あえて別を狙う。
持ち替えていたコールドメタルナイフでチャーリー1の胴体を横一閃。すぐさまメインスラスターを最大出力にしての体当たり。よろめいた隙を突き、射線上から隠れるように位置を交代する。
狙いを付けられず、痺れを切らしたチャーリー3が次の射撃位置へと機体を動かした。
――だが、何の保険も掛けないただの動作の隙をライカが見逃すはずが無かった。
アサルトマシンガンのアンダーバレルから放たれたAPTGMがそのままチャーリー3のコクピット部へ直撃する。
「う、そだろ……! もう二機やられただと!?」
「カイ少佐とATXチームの隊長機を同時に相手したことを思えば、大したことはないですよ」
負けましたがね、と一言呟き、ライカは左腕のプラズマステークをチャーリー1へ叩き込んだ。誰が見ても、文句なしにライカの勝利である。
◆ ◆ ◆
「……ふう」
終了直後、三人組は逃げるように去って行った。これでもう何も言われないだろう。
戦闘を見ていた教導隊メンバーがライカの元へ歩いてきた。
「大した腕だ」
「ラミア少尉……。いえ……まだまだです」
「ライカ中尉! 俺、感動しました! って言うか、スッキリしました!」
まるで我がことのように喜んでくれるアラドへライ
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